ウェアラブルデバイスが“働く”を変える
― 集中を可視化するメガネから見える未来 ―(後編)
井上 一鷹さん(株式会社ジェイアイエヌ JINS MEMEグループ 事業開発担当)
2016/10/18実践、ジェイアイエヌ、JINS MEME、井上一鷹、ウェアラブルデバイス
IoTの構成要素として重要になる「インプットデバイス」。センサーと通信機能を有するモノ(デバイス)から取得したデータをネットワークに送信し、それらの分析結果を活用するというサイクルにおいて、「何をどう測る」を司るデバイスは、非常に重要な役割を果たしています。
後編では、メガネ型ウェアラブルデバイス「JINS MEME(ジンズ ミーム)」の事業開発担当井上さんへのインタビュー(前編)をもとに、編集部がHR領域での、個人と組織におけるウェアラブルデバイス・IoT活用の可能性を探ります。
- 井上 一鷹さん(イノウエ カズタカ)
- 株式会社ジェイアイエヌ JINS MEMEグループ 事業開発担当
1983年生まれ。慶應義塾大学理工学部卒業後、戦略コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルに入社し、大手製造業を中心とした事業戦略、技術経営戦略、人事組織戦略の立案に従事。2012年にジェイアイエヌに入社。社長室、商品企画グループマネジャー、R&D室マネジャーを経て、現在はJINS MEME Gr 事業開発担当。学生時代に算数オリンピックアジア4位、数学オリンピック日本最終選考に進んだ経験がある。
個人への応用可能性
個 人 | |
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採用 | ライフログを参考にし、業務や会社との相性を測る |
配置 | 部署ごとの特徴や傾向を分析し、配置時の適性を考える |
育成・研修 | 研修前後での変化を測定することで、研修の効果検証に役立てる |
日常業務 | チームメンバーの集中度を可視化し、日々のマネジメントに役立てる |
リテンション/ メンタルケア |
ストレスやモチベーションの状態を測り、ケアを行う |
組 織 | |
働く環境 | より集中できるオフィスの設計 |
リモートワーク | ・試験導入時に集中度や生産性向上を数値化し、導入設計に役立てる ・メンバーそれぞれの集中度を相互に確認できる「集中のSNS」の利用 |
安全管理・作業管理 | 危険を伴う作業中に、眠気が発生していたらアラート |
(1)採用・配置
デバイスを通じて「集中力」や「生活習慣」を測定すれば、個人ごとに「集中力を発揮しやすい業務」などを知る手がかりとなるため、業務や会社との相性を測るうえでの参考になるでしょう。また、社員から取得したライフログにより部署ごとの特徴や傾向を分析すれば、配置の際も個人の新たな適性項目を見て判断できるようになるはずです。
また、井上さんによると、すでに人材系サービスを提供する企業と共同で、採用における実証実験が進行中とのことです。
これまで面接では、30分程度の短い時間で、担当者の勘や経験に基づいて判断をしなければならないこともありました。しかし今後、ライフログの測定結果を参考にすれば、今まで可視化しづらかった適性を見て採用や配置を行える可能性が出てきます。
より自分にマッチした仕事をしながらイキイキと働くことができれば、個人にとっても会社にとっても大きなメリットとなるでしょう。