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世界の才能により最高品質のAIを透明なプロセスで届ける
データサイエンティストと企業の課題をつなぐ「SIGNATE」

株式会社SIGNATE 代表取締役社長

齊藤秀さん

SIGNATE採用実践

株式会社SIGNATE 代表取締役社長 株式会社SIGNATE 代表取締役社長

世界を変えるようなアイデアを思いついたとき、それを実現できるかどうかは「人」にかかっています。デジタル時代の今、アイデアを形にするには技術が不可欠。技術者の採用ニーズは年々高まるばかりです。とりわけ、AIが脚光を浴びるようになって以来、そのメインプレイヤーであるAI/ビッグデータ活用人材、いわゆるデータサイエンティストは、最も採用しづらい職種の一つと言えます。この課題に新たな仕組みをもって挑むのが、株式会社SIGNATE。企業が持つデータ活用に関する課題とデータサイエンティストとを、コンペティション形式でマッチングさせるプラットフォームです。本サービスの発起人である齊藤秀さんにお話をうかがいました。

シリコンバレーから着想を得た
日本初のプラットフォーム

「SIGNATE」の特長を教えていただけますか。

企業は、自社サービスを常にブラッシュアップさせたいと考えています。しかし、AIやアルゴリズムの領域に明るい人材がいないため、社内に課題を抱えたままになっているケースがとても多いのも事実。その課題をオープンにし、世の中のデータサイエンティストたちからコンペティション形式でソリューションを募るための仕組みが「SIGNATE」です。企業は、懸賞金や正社員登用といったリワードを用意。コンペティションの参加者たちは懸賞金とともに自身のスキルが大手企業に認められ、社会実装の一助になったという実績や名誉を得ることができます。

2014年に日本初のサービスとしてローンチし、現在では8,000人を超えるデータサイエンティストが登録する、日本最大のコミュニティーとなっています。各コンペティションへの応募件数は多いもので数千件を超え、さまざまな業種における多数の企業様のほか、経済産業省や文部科学省といった行政にもご活用いただいています。コンペティションを開催する前に、当社のデータサイエンティストがソリューションまでの道筋を構想し、解が出ることをある程度担保した状態で公募を開始します。そのため、企業にとって空振りがない。ここに、当社ならではの強みがあると言えますね。

「SIGNATE」が誕生した背景について、お聞かせください。

数年前からビッグデータが注目されるようになって、今や誰もがAIの行く末を見守っています。新たな技術が生まれれば、それを扱える人材が必要です。データサイエンティストの数が追い付いていないことは、アメリカや中国を始め、世界的な課題になっていました。海外を見渡すと、AIスペシャリストが手掛けるスタートアップがどんどん大手企業に買収されています。その目的は、ずばり「人材」。人が採れないから会社ごと買ってしまう。それほど、人材獲得競争が激化しているのです。

ただし、会社ごと買ってしまおうと発想できるのは、一部の巨大企業のみ。一方、世の中には、規模は小さくても素晴らしいアイデアを持っている企業がたくさんあり、新しいプロジェクトを任す人材さえいれば、大きく飛躍する可能性を秘めています。2012年、シリコンバレーのベンチャーが運営する「Kaggle」というサービスに出合いました。データ分析・AI開発を「世界競技」のようにして、世界中からソリューションを募る、というものです。中には、億を超える懸賞金が用意されたプロジェクトもありました。従来、学会や国際会議でもこのようなAIコンペティションは開催されていましたが、いよいよ民間でも同様のサービスが始まり、今後この方法は主流になると感じました。「SIGNATE」はそこから着想を得ています。

座学で身に付けた知識だけでは、データのスペシャリストになれません。企業が抱える課題は、それぞれ全く異なるもの。「やってみなければわからない」のが実情です。そう考えると、教育の場や成長過程にいるデータサイエンティストには、「生(なま)の課題」が不足しています。通常は表に出てこない、世の中の課題が可視化されたコミュニティーが「SIGNATE」。社会課題に対する意識や成長意欲の高い技術者にとって、最適な学びの場にもなっています。

「SIGNATE」のサービスの仕組み

「SIGNATE」のサービスの仕組み

「SIGNATE」のサービスのフロー

「SIGNATE」のサービスのフロー

課題をオープンにすることで
イノベーションが生まれる

コンペティションを開催する前に、貴社のデータサイエンティストが一度分析し、プロジェクトを設計しているとのことですが、そのソリューションをクライアントに提供するのではなく、あえてコンペティション形式にしているのはなぜでしょうか。

コンペティション形式にしたほうが、必ず良いアウトプットにつながるからです。予想通りにいかないのがこの分野の難しいところ。運の要素も多分にあります。コンペティションの優勝者は、すでに企業での華やかな実績がある方ばかりではなく、学生の方や以前は異分野で活躍されていた方など、本当に多種多様です。さまざまなバックグラウンドを持つデータサイエンティストが自身の最適解を持ち寄ることで、一般的な中途採用やアウトソーシングでは得られないような、思いもよらない分析手法が生まれることもあります。コンペティションを行うと、必ず品質が上がります。専門外の参加者がコンペティションに勝つこともあり、通常なら実現しないマッチングが起きているのも面白いですね。

これまでの事例には、どのようなものがありますか。

例えば、名刺管理ソフト「Eight」を運営するSansan様。ユーザーから送られてくる名刺データを手作業で入力していたためオペレーションコストが増大し、AIによる自動化を進めようとしていました。コンペティションを開催することで、多くのデータサイエンティストが参加し、インハウスの技術者を超えるソリューションも出てきました。その中から採用にも結び付いています。

JR西日本様の案件も興味深いものでした。冬の北陸新幹線は、車両に付着した雪の飛散防止のため、前日の天気予報に応じて除雪要員を動員させていました。しかし、車両への着雪の予測は実際には難しく、予想に反して雪が付着しないときもあり、無駄な動員になることも多い。そこで、気象センサーに基づく着雪量予測アルゴリズムを開発し、除雪員を適切に配置しようと公募を行いました。2,000件を超えるアイデアが集まりましたが、その際、上位入賞となったのは、社内のデータとは関連のない部署で働いていた社員が起案したものだったのです。大手企業の中で埋もれている人材を再発掘できることを確認できた事例でした。

「SIGNATE」を通して実現していきたいことをお聞かせください。

ビッグデータ活用に関する課題をオープンにできるカルチャーを持つ企業は、日本にはまだ多くありません。しかし、例えばクラウドソーシングやリモートワークの文化も、最初は心理的抵抗が大きかったのですが、今では当たり前になってきています。「SIGNATE」のようなコンペティション型プラットフォームも同じように、いずれ受け入れられる仕組みだと思っています。クローズドな環境では、なかなかイノベーションは生まれません。リスクよりも得られるリターンのほうが大きいことを証明したい。そのために、社会的インパクトの大きい案件にも果敢に挑み、産業規模を広げていきたいと考えています。

企業概要
株式会社SIGNATE( 英文 SIGNATE Inc.)

本社所在地:東京都千代田区四番町6番 東急番町ビル
問合せ先:info@signate.co.jp

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