サイエンスカンパニー 3Mにおける、テクノロジー人材の「創造性」と、組織の「効率性」の両立 (前編)
渋谷 和久さん(スリーエム ジャパン株式会社 人事本部 人事統轄部長)
「ポスト・イット® ノート」や「スコッチ® テープ」など、数々のイノベーティブな製品で知られる「3M」。次々にヒットを生み出す同社では、技術者が就業時間の15パーセントまでを自分の興味のある分野の研究に費やすことができる「15パーセントカルチャー」や、全売上高のうち新製品が占める割合の目標を持つ経営指針など、新たな価値創造を行う仕組みが多く取り入れられています。
今回は『日本の人事部 HRアカデミー 2016夏期講座』の中で、スリーエム ジャパン 渋谷和久さんにお話しいただいた取り組み内容を基に、テクノロジー人材の自由な「創造性」を生み出しながら、組織としての「効率性」との両立も図る仕組みについてお伝えします。
- 渋谷 和久さん(シブヤ カズヒサ)
- スリーエム ジャパン株式会社 人事本部 人事統轄部長
1963年神奈川県生まれ。武蔵工業大学機械工学科卒業、1986年住友スリーエム株式会社(現スリーエム ジャパン株式会社)入社。工務部門、労働組合副委員長を経て、人事部門に異動。ビジネスパートナー人事、労政、賃金および福利厚生を担当し、2012年12月より現職。日本人材マネジメント協会で人材マネジメント基礎講座の講師を2008年から務める。
8300人の研究者と5万5000種の製品 サイエンスカンパニー3M
3Mは私たちの身近な存在でもある「ポスト・イット® ノート」「スコッチ® テープ」などのオフィス用品のほかに、自動車やその他製造関連、ヘルスケア、交通、エレクトロニクスなど、多くの分野で事業を展開する世界有数のコングロマリットです。「あなたの3m以内に、何かのかたちで3Mに関係した製品がある」と言われるまでに次々と製品を生み出す同社は、高い技術力を持った多くのエンジニアが活躍するサイエンスカンパニーでもあります。
その技術力は、同社の扱う製品数からもうかがい知ることができます。その数は現在約5万5000種。3Mは全世界で約9万人の社員を抱え、うち約8300人が研究開発者として働いていますが、この数字を見ればいかに多くの製品が生み出されているかがわかります。
3Mの研究所は、開発拠点となるアメリカ、ドイツ、日本を含め、世界各国36ヵ所に置かれています。3Mは非常に高い技術力を持ち、日々テクノロジーを進化させているのです。