サイエンスカンパニー 3Mにおける、テクノロジー人材の「創造性」と、組織の「効率性」の両立(後編)
渋谷 和久さん(スリーエム ジャパン株式会社 人事本部 人事統轄部長)
自由は与えられるのではなく、勝ちとる
企業において、組織がイノベーションを継続していくことは容易ではありません。そこで3Mは、15パーセントカルチャーなどに代表される社員の「自由」を認めながらも、選択と集中を行い、指標を定めて管理を行う「規律」を設けることで、創造性と効率性を両立させる組織づくりを目指しています。
この自由と規律を合わせもった「自律」こそが、3Mの社員に求めるチャレンジである、と渋谷さんは言います。
「私はいつも社員に対し、『与えられるのではなく、勝ちとってほしい』と伝えています。3Mでは社員の自由を認めていますが、決して自由を制度や規定で定めているわけではありません。15パーセントカルチャーに関しても、15パーセントの時間を興味のある分野の研究に費やすことが『できる』のであって、費やすことを強制しているわけではないのです。当然ですが、自分の好きなことをしていて、本来の業務がおろそかになるようなことは、あってはなりません。
『自律』の精神を持ち、自ら勝ち取ることで、社員にはよりイノベーティブな仕事をしてほしいと願っています」
社員に創造的に働いてほしいと思いながらも、自由を与えて好き勝手にされてしまっては困る。そのような多くの企業の悩みに、3Mの取り組みは一つの道を示しています。日々新たな製品とイノベーションを生み出し続ける同社の姿から、学べるものは大きいのではないでしょうか。