デジタルウェルビーイングのケーススタディ
いつでもつながれる時代に問い直す
デジタル機器との距離感
人が1日にスマートフォンを見る回数は、平均150回以上と言われています。パソコンにスマホ、SNSにチャットアプリ。ビジネスにおいても私生活においても、今やこれらのない生活は考えられません。しかし、デジタル機器の長時間使用に伴う視力低下や、ネット依存、SNS上のプライバシーなど、デジタル社会が引き起こす問題は数多くあります。
Googleの調査によると、7割以上の人たちが「テクノロジーと実生活のバランスを改善したい」と考えているそうです。また、大正製薬の「疲れに関する調査」によると、36.6%はPC・スマホなどの使い過ぎによる肉体的疲労を感じているといいます。
利用者自身がデジタル機器やテクノロジーの使い方を留意しなければならないのはもちろんですが、最近では製品やサービス提供側もデジタルウェルビーイングを意識した商品開発を行うようになってきました。例えば最新のスマートフォンには、使用状況を可視化できる機能が搭載されています。「先週より使いすぎている」とわかれば、自制することもできます。
リモートワークが進み、スマートフォンやタブレットだけでも仕事ができるほど機器が高機能化した現在、仕事とプライベートの境界線が曖昧になっています。そこで、メーカー各社は「Do Not Disturbモード」や「おやすみモード」など、通知が表示されないモードを用意することで、人々がデジタル機器との好ましい距離感を保てるような仕組みを導入しています。
ここ数年で、「つながらない権利」が注目されるようになりました。つながらない権利とは、勤務時間外に仕事関係の電話やメールなどの対応を断ることができる権利のこと。今後ますますデジタル化が進む時代、個人がデジタルとの付き合い方を考えるだけでなく、企業はいつでもつながることができる時代の働き方を捉え直す時期にきています。
・参考
疲れに関する調査(大正製薬)