ユニコーン企業のケーススタディ
日本のユニコーン企業はなぜ少ない?
上場のハードルの低さも一因に
ユニコーン企業と呼ばれる条件には、前述の三つに加えて、テクノロジー関連企業であることも重要なポイントです。絶対的な条件ではないものの、SaaSなどのテクノロジー関連事業は大きく成長する見込みが高く、ベンチャーキャピタルから注目されやすくなっています。日本最大のユニコーン企業の代表格だった株式会社メルカリは、2018年に東証マザーズに上場したことでユニコーン企業から卒業しました。
日本政府もベンチャー企業への支援を強化しています。2020年に閣議決定した「成長戦略フォローアップ」では、2025年度までに企業価値または時価総額が10億ドル以上のユニコーン企業または上場ベンチャー企業を50社創出することを目標として掲げました。また、2019年度末時点の状況は16社だとしています。
米国や中国と比較して、日本のユニコーン企業数が見劣りしてしまうのはどうしてでしょうか。まず、日本は他国と比べて起業家スピリットがさほど強くないことが挙げられます。失業率がそう高くなく、解雇もされにくく、安定した職に就きやすい環境にあり、そもそも起業を目指す人が少ないという現状があります。
また、日本は言語や文化の壁があり実態を把握しづらいため、海外で存在感を発揮しにくい傾向にあることも理由の一つです。ベンチャーキャピタルによる調達額も、年間数兆円となる米国や中国と比べて、日本は数千億円規模にとどまっています。
一方、資金を調達するために上場という選択を選ぶ企業もあります。マザーズへの上場基準は比較的低いため、上場によって資金を得ることのハードルは他国と比べて低いことが一因です。しかし上場すると、ユニコーン企業の条件である「未上場」からは外れることになります。
現在は海外投資家から、SaaSなどのサービスを提供する日本企業への関心が高まっています。日本は次なるユニコーン企業を生み出せるのか。その行方が注目されます。
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・参考
成長戦略フォローアップ(内閣府)
The Complete List Of Unicorn Companies(CB Insight)