CDO(Chief Digital Officer)のケーススタディ
プレーヤーでなく、CDOの設置を
経営層にデジタル人材が必要なのはなぜ?
欧米でCDOという肩書が増え始めたのは、2010年代のこと。CEOやCOOなどに並ぶCレベルの人材で、組織のデジタル変革を行うCDOが次々に誕生。その流れは、日本にも訪れつつあります。PwCのコンサルティングサービス「Strategy&」が公表した「2018年Chief Digital Officer調査」によれば、「自社がデジタル化を推進するための専門組織を持つ」と回答した割合は28%で、2016年の22%よりゆるやかに増加しました。CDOの設置率も7%から9%へと増加しましたが、グローバル全体では19%から21%へと増加しており、日本における規模はまだまだ小さいのが現状です。
プレーヤー層のデジタル人材ではなく、なぜ経営層のデジタル人材が必要なのでしょうか。これまで社内のITリーダーといえば、「CIO(チーフ・インフォメーション・オフィサー:最高情報責任者)」が一般的でしたが、CIOとCDOをあえて区別して使っている企業もあるようです。
社内のIT部門は、基幹系システムや情報系システムなどの社内システムの運用管理が中心で、事業部門からの要請に協力するという受け身のITであることが多いのが実状です。しかし、DXの必要性が高まっている今、攻めのITに転じなければ、存続が危ぶまれる企業も出てくるかもしれません。
攻めのITを実現するには、多少痛みの伴う意思決定もしていかなければなりません。DXのために必要なのであれば、多くの人が慣れ親しんだ方法を捨て、ときには事業を閉じる決断をしなければならないのです。そのような経緯から、経営やビジネスに詳しく、デジタル変革も主導できるリーダーが必要とされています。企業としての生き残りをかけてDXに取り組むなら、まずは強い権限を持つデジタル人材を据えることから始める必要があるでしょう。
・参考
PwC Strategy& 日本における「2018年Chief Digital Officer調査」の結果を発表(PwC)