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脳科学は人事にどう活かせるか
~モチベーション、アンガーマネジメント、身体感覚~

早稲田大学研究戦略センター 教授 枝川義邦さん

自身の怒りをマネジメント

早稲田大学研究戦略センター 枝川 義邦さん

二つ目の「アンガーマネジメント」にも脳科学が関係してくるのですね。

そうですね。自身の「アンガーマネジメント」、いわゆる「怒り」のマネジメントを行い、不機嫌な職場を減らすことに、脳科学はお役に立てるのではないでしょうか。近年、アンガーマネジメントが注目を浴びていますが、脳科学の知見を元に「怒りの構造を知る」ことが、アンガーマネジメントのイロハのイとなります。職場における「怒り」は、「モチベーション」と同様に組織のオペレーションにおいて重要であり、人事担当者として頭を悩ますテーマではないでしょうか。

ビジネスシーンでは、ミーティングで思わず議論が過熱してしまうことや、電話対応で相手の言葉にカチンときて頭の中がまっ白になってしまうこと、交渉の場で勢いにのまれてしまうなど、「合理的な経済人としてふさわしい立ち居振る舞いができない」こともあるかと思います。このような時には、前頭前野の活動性をマネジメントすることにより、自らの怒りをコントロールしやすくなります。

例えば、自分自身を一歩引いて客観視する「メタ認知」が挙げられます。メタ認知ができるようになると、「自分はこのような時に、こういう反応をして、こんな行動をし、結果このようになることが多い」とあらかじめ認識し、自分が自分の監督として自らをコントロールしやすくなりますので、有事の際も理性を保ちやすく、感情におぼれづらくなります。他には、自分自身の精神状態を観察する「内観」や、自らの思考を言葉に変換する「言語化」なども有効です。

そもそも怒りは「二次感情」だと言われています。一次感情というのは「怒りの原因」となる、心の反射のようなもの。「さみしい」「つらい」「暑い」「痛い」など、誰もが持ち得る感情です。一方、怒りはこれら一次感情に起因する二次感情です。一般的に「カチンときたら6秒待て」と言われていますが、この一次感情と二次感情をつなげないために6秒待つというのは有効な方法かもしれませんね。


2017/01/24枝川義邦早稲田大学脳科学

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