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脳科学は人事にどう活かせるか
~モチベーション、アンガーマネジメント、身体感覚~

早稲田大学研究戦略センター 教授 枝川義邦さん

説得はアタマで、納得はハラで。

早稲田大学研究戦略センター 枝川 義邦さん

三つ目の「身体感覚」とはどのような意味でしょうか。

英語で言うと「Gut feeling」、最近、脳科学者たちの間では「はらわたの感覚が重要」と言われることもあります。脳と腸とは密接に関係しているという見方です。ストレスでおなかが痛くなることってありますよね。これは、脳と腸が互いに関連し合う「脳腸相関」という考え方です。また、腸内環境が脳の働きに影響を及ぼしていることも分かってきました。

実は意思決定は「脳だけで完結」しているのではなく、[1] はじめに脳に刺激があって → [2] そこですごく原始的で速い情報処理が行われ → [3] それをいちど身体に落として → [4] またそこで情報処理を経たものが脳に戻ってきて → [5] 意識にのぼり、意思決定として反映されると言われています。

脳と身体には、脳が命令を出して、それに身体が従うといった一方通行的の関係にあるという認識が強くあったかと思いますが、実は脳と身体は相互に作用しあっているというのが最近の理解です。これはまさに古くからある「腑に落ちる」という言葉に象徴されるのではないでしょうか。

説得は脳でする。納得ははらわたでする。はらわたに響くメッセージを発信することが、リーダーや人事部に求められることとなるでしょう。これが科学的に証明される前から、慣用句として私たちの生活に根づいていたというのが興味深いですね。たとえば「早寝・早起き、朝ごはんが大事」というようなことは、いわゆる“おばあちゃんの知恵袋”として、その昔から言い伝えられてきたものですが、現代の科学でようやくを科学で説明できるようになってきたといえるでしょう。経験則が多いとはいえ、先人の知恵は偉大ですね。

 


2017/01/24枝川義邦早稲田大学脳科学

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