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人工知能によって「売れる営業トーク」「伝わる会社説明会」の
論理構造を可視化する(前編)

河野 理愛さん(コグニティ株式会社 代表取締役)

2016/12/09実践人工知能(AI)コグニティ河野理愛

「売れる営業トーク」を可視化する

コグニティ株式会社 河野 理愛さん

現在、解析技術はどのように使われているのですか。

弊社にいただくご要望としては、講演の解析はもちろん、営業トークの解析といった依頼もあります。営業職の方は、社外での商談が多いですよね。そのため、どのような会話をしているのかが上司やほかの社員からは見えづらく、優秀な営業社員のノウハウ・暗黙知を横展開しづらいという悩みを抱えている企業からご相談をいただきます。

具体的な方法としては、いわゆる「売れる」営業社員のトークを解析することで、どのような流れで話が進められ、どのような要素が盛り込まれているのかが可視化されます。これを数名分行えば、自社の営業トークに求められる要素がわかります。その要素を新人社員などと比較すれば、社員ごとの改善のポイントを見つけられるでしょう。

いくつかの企業で解析を行った結果、傾向も見えてきました。業界ごとや企業ごとに、優秀な社員の会話の進め方の傾向がはっきり表れることもあります。例えば、理工学的な商品を扱う業界において、売れている営業の方のトークには、事実となるデータをより多く提示する傾向があります。このように、同じ営業トークでも、商材や業界によって求められるものが違うということが、客観的にも明らかになりました。

トークの解析以外には、「レポートや商品説明資料の解析」といった依頼もあります。これらを解析することで客観的な改善点が見えるため、必要な情報のぬけもれなく文章を作成することができます。

加えて、社内会議やディスカッションを共有する際の議事録として使っていただくことも可能です。レポートには会話の中で重要であると思われる内容をピックアップした部分もあるため、そこだけを読めば会議の内容をおおまかに把握することもできます。

コグニティ株式会社 河野 理愛さん

「伝え方」に正解はない

コグニティ株式会社 河野 理愛さん

解析技術を活用する上で、人事が意識するべきことはありますか。

解析結果のレポートでは、「論理性」や「納得させやすさ」「話題の密度」「対策の充実度」などの数値をそれぞれパーセンテージでお伝えしていますが、必ずしもすべて高いものが正解であるわけではありません。よって、解析から普遍的な正解がわかるわけではないという点は意識していただきたいと思います。

普通の会話とディベートで求められるものが違うように、場面や目的に応じて、論理性が強く求められる場面もあれば、論理性が低くても「納得させやすさ」が高ければいい場面もあります。

私がお伝えしたいのは、この解析は、可視化して複数の対象を比較できるのが強みだということです。講演や営業トークの解析でも、「理解促進に有効なモデル」「受注につなげるうえで有効なモデル」といったモデルと比較をすることで、自分の改善すべき点を知ることができるのです。

私が研究を始めたのは、コンピュータが持つ「バイアスをかけずに情報を解析できる」という強みで、人間の可能性を広げるサポートができるのではないかという思いがあったからでした。

人間の認知はバイアスの影響を多分に受けており、それに起因する誤解や争いも絶えません。バイアスによって、本当にいいアイデアが見逃され、認められないこともあるでしょう。私はこういった認知の限界を解決する技術を提供したいと考えています。

 


2016/12/09実践人工知能(AI)コグニティ河野理愛

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