ウェアラブルデバイスが“働く”を変える
― 集中を可視化するメガネから見える未来 ―(前編)
井上 一鷹さん(株式会社ジェイアイエヌ JINS MEMEグループ 事業開発担当)
2016/10/18実践、ジェイアイエヌ、JINS MEME、井上一鷹、ウェアラブルデバイス
「第4次産業革命」を構成する柱の一つである、IoT(Internet of Things)。実社会のあらゆる情報がデータ化され、ネットワークを通じて自由にやりとり可能になるというIoTは、近年大きな注目を集めています。
そのIoTの構成要素として重要になるのが「インプットデバイス」です。センサーと通信機能を有するモノ(デバイス)から取得したデータをネットワークに送信し、それらの分析結果を活用するというサイクルにおいて、「何をどう測る」を司るデバイスは、非常に重要な役割を果たしています。
その形態は、PCやスマホ、ガジェットや産業ロボット・工作機械など多岐にわたりますが、今回はメガネ型ウェアラブルデバイス「JINS MEME(ジンズ ミーム)」の事業開発担当井上さんより、「日常的に着用できるウェアラブル端末だからこそできること」、また「HR領域への応用可能性」について、お話をうかがいます。
- 井上 一鷹さん(イノウエ カズタカ)
- 株式会社ジェイアイエヌ JINS MEMEグループ 事業開発担当
1983年生まれ。慶應義塾大学理工学部卒業後、戦略コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルに入社し、大手製造業を中心とした事業戦略、技術経営戦略、人事組織戦略の立案に従事。2012年にジェイアイエヌに入社。社長室、商品企画グループマネジャー、R&D室マネジャーを経て、現在はJINS MEME Gr 事業開発担当。学生時代に算数オリンピックアジア4位、数学オリンピック日本最終選考に進んだ経験がある。
「脳のはたらき」を推測できるメガネ
井上さんがご着用のメガネも、実は特殊なデバイスだそうですね。一見普通のメガネのようですが、何を測れるのでしょうか。
まばたきや眼球運動から、「集中」「活力」「落ち着き」の度合いや「眠気」といった、脳のはたらきを推測することができます。それらの情報をカレンダーアプリとひも付ければ、例えばどのタイミングで集中度が高まっていたのか、日ごと・予定ごとの情報を得ることも可能です。
また、体軸の変化を測定することもできます。これによって、歩行・走行時の体のブレを診断し、体幹トレーニングにも使用できます。
測定はどのように行うのですか。
一般に、人間の眼球の角膜側は正の電極、網膜側は負の電極を帯びており、角膜側と網膜側ではわずかな電位差が生じます。JINS MEMEでは、鼻に触れる二つのノック部分と中央部の計三ヵ所に、この眼電位を測定する電極を設置しています。
瞳の動きによって電極と眼電位の位置関係が変化するため、着用者がどんな頻度でどのようにまばたきをし、視線を移動させているかがわかるのです。
体の動きは、テンプル(つる)の部分に入っている6軸センサーを使って測定します。それぞれ「左右」「前後」「上下」を表すx軸、y軸、z軸の3軸方向への加速度センサーと、角速度(回転する速度)を測定するジャイロセンサーを搭載しており、あらゆる動きを測れるようになりました。