AIが苦手なこと
ここまで書くと、一見万能マシンのように見えるAIであるが、現時点では制約も多い。ヤフー株式会社 チーフストラテジーオフィサーの安宅和人氏は、『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』において、AIが苦手なこととして以下を挙げている。
AIにできないこと(苦手な領域) |
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1) AIには意志がない(ビジョンを描くことやゴールを設定することが苦手) |
2) AIは人間のように知覚できない(人間が不快に感じることをAIは認識できない) |
3) AIは事例が少ないと対応できない |
4) AIは問いを生み出せない |
5) AIは枠組みをデザインできない(問題を解決するためのフレームを生み出すことができない) |
6) AIにはヒラメキがない |
7) AIは常識的判断ができない |
8) AIには人を動かす力、リーダーシップがない |
出所:『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』(2015) 「人工知能はビジネスをどう変えるか」より編集部作成
これらのAIの特性を踏まえた上で、経営陣とともに「ビジョンメイキング、ゴール設定」や「未来に起こりうる問題の予測と対応」、「人を動かす、リーダーシップの発揮」などの領域において価値発揮していくことが、今後の人事担当者には、より一層求められてくると予想できる。
そこで、最終回となる第3回では、“HRとAI”をテーマに、「AIの成長により、雇用・組織・人材はどう変化していくか」、また「人事は今後どのようなスタンスが求められるか」について考えたい。
- 監修:大野 順也(オオノ ジュンヤ)
- 株式会社アクティブ アンド カンパニー 代表取締役社長 兼 CEO
1974年生まれ。大学卒業後、株式会社パソナ(現パソナグループ)に入社。営業を経て、営業推進、営業企画部門を歴任し、同社の関連会社の立ち上げなども手掛ける。後に、トーマツ コンサルティング株式会社(現デロイト・トーマツコンサルティング株式会社)にて、組織・人事戦略コンサルティングに従事し、2006年1月に「株式会社アクティブ アンド カンパニー」を設立し、代表取締役に就任。現在に至る。 著書『タレントマネジメント概論』(ダイヤモンド社)