AIはブームを繰り返してきた
ブーム | 盛り上がりの理由 | ブームが去った理由 |
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第一次 1960年代 推論・検索の時代 |
「Artificial Intelligence」(人工知能)という言葉が 1956年ダートマス会議にて公に提唱され期待感が高まる。 | 解ける問題のレベルが低く、現実的な問題を解決するには至らなかった。 |
第二次 1980年代 知識の時代 |
コンピュータの普及、エキスパートシステムへの期待。 | 膨大な知識を収集・記述・管理することの大変さ。曖昧な問題への対応力の弱さ。 |
第三次 2010年代 機械学習と 特徴表現学習の時代 |
ビッグデータとディープラーニング技術。 |
1950年代後半よりAIの研究が始まり60年ほど経つが、AIには現在を含めて三度のブームがあった。
1960年代におけるAIは、人間が用意したパズルや迷路といった非常に限定された問題(トイ・プログラム/おもちゃの問題)しか解けず、現実的な問題を解決するには至らなかったことなどにより、そのブームは過ぎ去った。
その後、1970年代の冬の時代を超えて、1980年代に二度目のAIブームが訪れる。この頃から民間企業にコンピュータが普及していったことにより、「エキスパートシステム」としてAIに大きな注目が集まるようになった。これはコンピュータに知識を大量にインプットすることでコンピュータが賢くなり、特定領域の専門家の代わりになりうるとしたものであり、医療・金融・生産・バックオフィス業務などの分野における活用が期待された。
しかし、実際にはこれら「専門家の知識」は暗黙知も含めるとすでに膨大な量があり、ここに「胃がムカムカする」といった、人間にとってあたりまえに理解できる曖昧表現による情報まで含めると、さらに膨大な量となる。これらをすべてを人間の手により収集・整理・記述・管理していくには、相当の時間やコストがかかる。そのため、多くの場合は実用に至らず、1990年代には第二次AIブームは終焉を迎えた。
その後、再びAIは冬の時代を迎えるが、2010年代に第三次ブームが起こる。背景にあるのは、得られやすくなった「ビッグデータ」と、「機械学習(マシンラーニング)」、「深層学習(ディープラーニング)」技術の発達である。