HR Technologyカンファレンス2017

HR Tech(HRテック) ~人と組織の新しい可能性を創る~

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ピープル・アナリティクスの活用により「未来を予測し、先手を打つ人事」を実現 〜90%の精度を実現した、テンプホールディングスの挑戦~(後編)

山崎 涼子さん(テンプホールディングス株式会社 グループ人事本部 人事情報部 人事情報室 室長)
小川 翔平さん(テンプホールディングス株式会社 グループ人事本部 人事情報部 人事情報室)

テンプホールディングス株式会社 ピープル・アナリティクスの活用

膨大な社員情報・人事データをデータ分析技術によりモデル化し、人事施策や職場改革につなげるピープル・アナリティクス。米国では、グーグルやフェイスブック、アクサ生命保険など、ピープル・アナリティクス専門の部署を設立する企業も増えている中、日本企業でその先端を走っているのがテンプホールディングス株式会社です。

前編では、「退職」を予測するモデルについて語っていただきました。後編では引き続き、「異動後の活躍」の予測モデルと、これからピープル・アナリティクスを導入する上で必要なことについてお話を伺いました。

テンプホールディングス株式会社 グループ人事本部 人事情報部 人事情報室 室長 山崎 涼子さん

テンプホールディングス株式会社 グループ人事本部 人事情報部 人事情報室 室長

山崎 涼子さん(ヤマザキ リョウコ)

大学卒業後、2008年にインテリジェンス新卒入社。入社から現在まで、採用・教育・人事運用設計等、一貫して人事畑を歩く。2015年4月に、HR Techに取り組むべく「人事情報室」を立ち上げ、現在に至る。

テンプホールディングス株式会社 グループ人事本部 人事情報部 人事情報室 小川 翔平さん

テンプホールディングス株式会社 グループ人事本部 人事情報部 人事情報室

小川 翔平さん(オガワ ショウヘイ)

大学院では社会科学を専攻。修了後、FA設備設計会社に就職。制御系エンジニアとして自動車部品の生産設備を中心に設計業務に従事。その後インテリジェンスに転職し、人事部門にてデータ分析やタレントマネジメントシステムの運用業務を担当。2016年10月からグループ会社のテンプホールディングス株式会社に転籍し、現在に至る。

「異動後活躍モデル」は、全社の人材戦略会議ですでに活用されている

テンプホールディングス株式会社:異動成功予測モデル×ハイパフォーマーマイニング=異動後活躍組織予測モデル

次に、「異動後活躍予測モデル」について教えてください。

山崎さん:退職予測モデルの開発が落ち着いてから議論を始め、約半年で完成しました。異動についてのスタンスは、非常にポジティブで、特に事業部をまたぐ異動は個々人の成長につながるものだと捉えています。しかし、会社が拡大していくなか、どのポジションにどういう人が向いているのかが、把握しにくくなっている現状がありました。そのため、どのような人がどのような部署に異動することで活躍できるのかを予測したい、それがモデル開発のきっかけでした。

小川さん:この「異動後活躍組織モデル」は、異動先の部署で社員が活躍する確率を予測するものです。このモデルは、二つの分析手法を組み合わせてつくりました。

一つ目は、「異動成功予測モデル」で、ある社員が仮に異動した場合、その後の2年間で評価が上昇する確率を求めるものです。このモデルも退職予測モデルと同様に、社員の年齢・性別などの個人情報と、社内での活動履歴のデータを用いました。+αとして、アセスメントテストの結果も反映させることで、精度を上げています。そのテストでは、積極性の高さや問題解決力など、基本的な能力がチェックできます。精度としては、AUC(Area Under the Curve)という指標で計測すると、0.8という数値です。これは、0〜1の間で算出される値で、1に近いほど確からしいモデルであり、0.5を上回っていると一定の規則性が認められる指標になります。0.8ですので、高い精度を持っていると言って良いと思います。

そして、もう一つの手法は、「ハイパフォーマーマイニング」というもの。各部署のハイパフォーマーの要件を分析したものです。「異動成功予測モデル」と「ハイパフォーマーマイニング」を組み合わせることで、「異動したら活躍できるか」ということと、「どの部署に異動してもらうのが良いのか」という、二つの側面から予測ができるのです。

モデル開発後の運用は、どのように行っていますか。

山崎さん:退職予測モデルと同様に、グループ内の事業会社の人事部に情報を提供し、人事異動の検討に活用してもらっています。分析結果については、非常にポジティブな反応ですね。人事部は有効な情報がたくさんあるほど、人事異動やリテンションといった施策を打ちやすくなりますので、こういった画期的な情報が提供されると、かなり喜んでくれます。

なお、現場人事担当者とともに効果検証を行う中で、強く感じることがあります。それは、データは万能ではないということ。データももちろん大切ですが、人としてのウェットな部分がそれ以上に重要なケースもあります。例えば、社員のAさんの異動を検討する際に、現場で接している方の意見を聞くことで、データでは見えてこないAさんならではの良さに気づかされることも多いです。データと感情の双方をハイブリッドに用いることが、これからの人事に求められることかもしれません。

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