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ピープル・アナリティクスの活用により「未来を予測し、先手を打つ人事」を実現 〜90%の精度を実現した、テンプホールディングスの挑戦~(後編)

山崎 涼子さん(テンプホールディングス株式会社 グループ人事本部 人事情報部 人事情報室 室長)
小川 翔平さん(テンプホールディングス株式会社 グループ人事本部 人事情報部 人事情報室)

ピープル・アナリティクスの実践に必要なことは、
「会社を良くしたい」という強い想いを持つこと

テンプホールディングス株式会社 山崎涼子さん/テンプホールディングス株式会社 グループ人事本部 人事情報部 人事情報室 小川 翔平さん

仮に、ピープル・アナリティクスをゼロから実践する場合、どのようなことに気をつけたら良いでしょうか。

山崎さん:前提となるのが、「自分の会社を良くしたい!」という強い気持ちを持つことです。「自分の会社の課題はここにある」「こうしたらもっと働いている人が喜んでくれる」といった仮説を自ら立てて、立証していかなくてはなりませんので、大元となる問題意識を掲げる必要があります。この部分については、外部のコンサルタントに考えてもらっても、おそらくうまくいかないと思います。

小川さん:その仮説立案を山崎が担ってくれたので、私は分析作業をスムーズに進められました。私自身、人事業務については素人だったのですが、社内の事情も含めて山崎がインプットしてくれたので、とても助かりました。

山崎さん:他に気をつける点としては、人事として、どのようなタイプのデータサイエンティストとチームを組むのかということ。小川と仕事をする中で感じたのは、問題を一緒に定義したり、仮説を人事の立場で考えてくれたりといった、分析以外のスキルやスタンスがデータサイエンティストにとって大切だということです。こちらの要望に対して、分析のスペシャリストとして応えるだけですと、ここまでの成果は出せなかったでしょう。

小川はデータサイエンティストではなく、「データサイエンティストの能力を持った人事」だと思います。双方に渡って活躍できる人が必要ですので、できれば人事部内に所属してもらうのがベストですね。

小川さん:私の知人にも、人事に興味があるデータサイエンティストは複数いまして、よく意見交換をしています。そこでの感触としては、社員ではなくまずは業務委託として分析を依頼しても、コミュニケーションを密にとれれば、プロジェクトは進められるとは思います。蓄積されている人事データの活用の仕方や、解決するべき課題があれば、相談してみてはいかがでしょうか。

最後に、貴社のピープル・アナリティクスの今後について、教えてください。

山崎さん:退職と異動については一段落したので、まだ取り組めていない、採用の分野にも挑戦していきたいと思っています。別のテーマとしては、上司と部下の一対一の関係性にも踏み込み、日々のマネジメントに活用できるモデルも検討したいと思っています。

小川さん:私の方では、自分自身のスキルの標準化を図っていきたいですね。この分野の分析の知見が、ほぼ私一人に集約されている状態は会社にとってリスクです。モデル開発の技法を標準化することによって、別の部署に展開できれば会社の成長に寄与できます。ひいては「一人ひとりが、より働きやすい社会」をつくること、そしてそれがグループヴィジョン「人と組織の成長創造インフラへ」の実現につながればと思っています。

 


2017/02/27実践活用事例ピープル・アナリティクステンプホールディングス異動・配置・昇進リテンション・退職

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