Mixed Realityの可能性
~日本航空の「仮想」訓練プロジェクト~(後編)
速水 孝治さん(日本航空株式会社 商品・サービス企画本部 業務部 業務グループ グループ長)
Microsoft社とのコラボレ―ション
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ビジネスパートナーであるMicrosoft社とは、どのように協業したのですか。
Microsoft社からはゲームクリエーターとして活躍した経験のあるような方々にもHoloLensの開発チームとして参加いただきました。そのおかげで、美麗な3Dホログラム映像や、パーツの一つひとつが精緻にわかる予想を超えるレベルの高いグラフィックを作りあげてくれました。さらに、ゲーム開発で培ってきたインストラクションの知見を活かし、初めて利用する訓練生にもわかりやすいものができたと思います。
また苦労もありました。日本航空は航空機メーカーでもエンジンメーカーでもないため、エンジンの3D CADデータを持っていません。コンパイルして3Dグラフィックに起こすには、自分たちで分解して写真を撮るしかない。そこでグラフィック化する写真を撮るために、ボーイング787型用エンジンを吊るしてパーツを分解し、写真を何万枚と撮影しました。その写真をもとに、クリエイターの方々がグラフィック化していく。この作業はMRにとって重要な「リアリティ」に直結するため、Microsoft社のバックアップは非常に心強かったです。
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最終的にプロジェクトの期間は、ほぼ1年。アジャイル開発方式で最終的なアウトプットだけを決めて、試行錯誤しながら進めていきました。ビジネスの現場と同様に、多くのチームの力を合わせた協業によって生まれたプロジェクトです。