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Interview:株式会社野村総合研究所

グローバル意識の醸成を目的としてビジネスに特化した
マンツーマン オンライン英会話のBizmatesを導入。
研修の成果をいかにビジネスの現場に直結させていくかが今後の鍵に

株式会社野村総合研究所 証券ソリューション事業本部 HRM室 HR企画・推進グループ 副主任 和田 智行さん
『日本の人事部』特別対談 異文化対応と自己表現を重視した「英語教育」が真のグローバル人材を生み出す

日本を代表する顧客企業のさまざまな課題に対して「最適解」を提供する、野村総合研究所(以下、NRI)。「時代先取りの精神」「顧客第一の精神」「品質へのこだわり」をモットーに、業界トップクラスの好業績、強固な経営基盤を構築しています。NRIの長期経営ビジョンにおける成長戦略の五本柱の一つがグローバル化の飛躍的拡大です。顧客のグローバル展開を支えるサービスとサポート体制を強化し、海外発の先進的なビジネスモデルや先端技術も取り込みつつ、最適なサービスを提供していくことを目指しています。様々な取り組みの中に、グローバルで求められるリテラシーとしての英語力強化があります。この一環として採用したのが、ビジネスに特化したオンライン英会話スクールのBizmates(ビズメイツ)が提供しているプログラムです。これを社内でいち早く導入を進めた証券ソリューション事業本部 HRM室 HR企画・推進グループ 副主任の和田智行さんに、導入の背景やプロセスとその成果についてうかがいました。 グローバル人材育成特集はこちら

グローバル展開は未知の領域に近い。従来の延長では通用しない

――まずは、貴社のグローバル展開についてお聞かせください。

NRIでは、「Vision2022」という長期経営ビジョンを掲げています。成長戦略の大きな柱は、グローバル化の飛躍的拡大。2016年3月期実績でグローバル関連事業の売上高は239億円でしたが、2023年3月期には1000億円まで拡大することを目指しています。挑戦的な目標であることは言うまでもありません。

もともとNRIは、野村證券調査部から分社した旧野村総合研究所と、電子計算部から分社した野村コンピュータシステムが合併して設立しました。その経緯もあって、私が所属する「証券ソリューション事業本部」は、証券会社の業務に精通しています。そのため国内の証券会社のバックオフィスシステムにおいてかなり高いシェアを占めています。近年はM&Aを行うなど、グローバル展開も図りつつあります。

株式会社野村総合研究所 証券ソリューション事業本部 HRM室 HR企画・推進グループ 副主任 和田智行さん インタビューの様子

――グローバル展開における事業課題をどう捉えていますか。

我々の本部では金融系のシステムサービスを提供していますが、国内では止まらない、間違えない正確なシステムを高品質に提供することで対価を得てきました。しかし、海外の感覚は必ずしもそうとは限りません。「トライ&エラーでスピード重視」という話も聞きます。また、実際にシステム開発を進めるとなると、文化の違いもあります。NRIに限らず、日本企業はコスト・時間をかけても最後まで仕事をやり切るのが当たり前と考えていますが、開発パートナーとなる海外のエンジニアが同じ考え方をするかといえば、決してそうではありません。我々の価値観を押し付けるのではなく、ローカライズしつつNRIらしい価値をどうやって創出していくかが、事業を推進していく上での課題です。

「グローバル展開を進めるんだ」という風土、意識づくりが重要と判断

――グローバル展開を進めていくためには、人材育成が大きな課題だったのではないでしょうか。

まさにその通りで、全社レベル、また各事業本部レベルで取り組みを行っているところです。
私の本部においても、中長期の事業拡大に向けた人材育成を現場の主要メンバーで横断的に検討する委員会活動を立ち上げていますが、このなかでグローバル人材育成は重点テーマとなっています。
グローバル事業を新たに創り拡大する上で、事業そのものの検討と必要な人材育成を同時に進めていかねばならず、ここは手探りで行っていく部分もあります。組織内での意識醸成も大事で、特にこれまで国内での事業にのみ従事してきた社員にとっては、グローバルといってもなかなか自分事となりにくい。また、英語を使う、ということへの心理的な壁も大きいと思います。グローバル事業関連の情報共有、グローバルリテラシーとしての英語力の向上に向けた支援などを行っています。

――語学力やコミュニケーション力のアップも重要ですね。これまでの取り組みについて、お聞かせください。

NRIでは、全社レベルで若手を海外にトレーニーに行かせて、語学やIT系の知識を習得するプログラムを推進しており、多くの社員が研修に参加しています。他にも留学制度や、海外のビジネススクールに派遣するといった施策も展開しています。それらを通じて、英語力だけでなく、外国人との相互理解力や異文化理解力を養うことも大きな目的と位置づけています。

昨年度から本部としての海外トレーニー派遣も行っており、若手社員を中心に海外拠点で数カ月間、実際の業務に携わる経験をさせています。各自高い意識をもって取り組んでくれていて、最初はコミュニケーションや仕事の進め方の違いで苦労しつつも、グローバルでの業務というものを体感できる場となっています。トレーニーは現地の業務を学ぶだけでなく、自分達が国内で培ってきた能力をどのような形で活かし、貢献できるのか、といった意識が自然と芽生えてくるようです。

しかし、現場の状況や受入先のプロジェクトの制約があり、派遣できる人数には限りがあります。これだけでは広く本部員に「NRIがグローバル企業に向かっているんだ」という感覚を持ってもらうことは難しい。
そのため私たちの事業本部の中には、「もっと対象を広げ、勢いのある仕掛けをしたい」「何かを変えたい」という思いがありました。

――Bizmatesのプログラムを導入されたきっかけは、社内のクチコミだったとお聞きしました。

そうなんです。事業本部内で、システムを海外向けにカスタマイズして売り出して行くR&Dプロジェクトが立ち上がった際、そのリーダーがBizmatesを受講していたのです。彼の周囲にいるメンバーが「Bizmatesはいいですよ」と私の上司に提言してくれ、それならばと少人数でトライアルを実施したところ、参加者全員のレベルが上がったので、2015年12月から本格的に導入しました。

――導入されたプランの内容について、お聞かせください。

Bizmates Program(ビズメイツプログラム)とITコースの二つから成る、毎日25分の法人契約プランを3ヵ月間導入しました。ビジネス経験のある講師がマンツーマンでレッスンしてくれるので、個人の習熟度に合わせられるのが良いと思いました。また、1日25分という時間なら、インターネット環境さえあれば、PCやスマホを使って出張先でも自分のスケジュールに合わせて授業が受けられるので忙しい社員でも何とかなるのではないかと考えたからです。それに、我々はシステム開発を進めるにあたって、日ごろから工数見積りやスケジュール管理、人員管理を徹底するよう求められています。多少忙しくても、どうすれば一日のなかで25分を捻出することができるかを考えるのは得意だろう、という判断もありました。

――どれだけの社員が参加するのか、不安はありませんでしたか。

何人の社員が受講してくれるのかは全く分からない状況でしたが、風土醸成を目的としていたので、個人的には事業本部に在籍する1000名の社員のうち50名くらいが受講してくれたらいいと思っていました。まずは、メールで1000名全員にBizmatesの導入を告知。もし集まりが悪かったら説明会やセミナーを開くつもりだったのですが、多くの返信があったので驚きましたね。結果的に、132名から受講申し込みが届きました。「本気でグローバル」というキーワードを掲げて事業を推進していく、という事業本部長からの強いメッセージが大きかったのでしょう。皆の意識はかなり高かったと言えます。 Bizmatesとは?

まずは事業本部としてスモールスタート、確かな手応えを得る

株式会社野村総合研究所 証券ソリューション事業本部 HRM室 HR企画・推進グループ 副主任 和田智行さん photo

――Bizmatesを運用するにあたり、どんな点に工夫されましたか。

いくつか工夫しました。まず、修了要件をかなり細かく設定しました。そもそも語学なので、ある程度のペースを保って受講しなければ効果がないと聞いていました。そのため、3ヵ月間で受講回数が40回未満の社員は全額自己負担、40回以上の方は会社負担、という条件を付けたんです。次に、頑張った分だけメリットがある仕組みにしました。具体的には、受講回数が65回以上の社員は次の3ヵ月間延長できるようにしたのです。継続した場合も自己負担の条件はそのままで、クリアすれば費用は会社が負担しました。さらには、社員同士を競わせる工夫もしました。オンラインで一人で受講していると、皆のなかで今どれぐらいの位置にいるのか、他の人のペースはどうなのかなどが分かりにくいものです。そこで、中間地点で全受講者の受講率分布図をメールで送り、BizmatesのMy Bizmates(マイビズメイツ)という個人ページをチェックすると自分の受講率を見れるので比較してほしい、とアナウンスしました。これは、かなり刺激になったようです。特に、受講率の低い人たちには「このままだと自己負担になります」と、2週間に1回アラートメールを送っていましたから。

――受講後の反応はいかがでしたか。

受講者からは「とても良かった」「英語に恐怖心がなくなった」「講師がレベルにあった会話をしてくれて質も高い」など、いろいろな声が寄せられました。特にうれしかったのは、他の事業本部に在籍する社員が「証券ソリューション事業本部がうらやましい」などと言ってくれたことです。同期同士で会った時などに、「最近Bizmatesにはまっている」といった話が出たようです。それが広まっていき、他の事業本部から私のところに、「どのように展開しているのか聞きたい」「ビズメイツ社の担当者を紹介してほしい」といった相談が何件かありました。現在は社内の他の事業本部においても多くの部署でBizmatesが導入されています。

また、数値的にも受講者の満足度はかなり高かったと言えます。受講者に対するアンケート結果を見ると、「教材の総合満足度96.6%」「トレーナー総合満足度94.3%」「Bizmatesを継続したい90.9%」でした。どのような研修を行っても、このような数字はなかなか出ないだけに驚きました。社内報にBizmatesの導入レポートを掲載したところ、問い合わせが一段と増えました。

裾野を広げる目的はクリア。今後は実務との連携を図りたい

――受講生の勉強意欲はかなり高かったようですね。

第1期では受講生132名のうち、約50名がプログラムを延長しました。私たちの予想よりも高い割合でしたね。第2期も100名が受講し、約50名が次の段階に進みました。実は第2期の募集では、第1期の受講生が再度申し込んでもいいことにしました。加えて、第1期ではTOEICのスコアを参加条件に設定していたのですが、それを外しました。実質的に第2期は、週5日間本気で受講するなら、事業本部に在籍するメンバー全員に受講のチャンスが提供されることになったわけです。第3期を迎えるにあたっては、もうそろそろ新規の申し込みはないだろうと思っていました。そこで、初めてビズメイツ社の担当者に来ていただき、本部内でセミナーを開催したんです。説明会には今まで受講していなかった社員が30名ほど申し込んでくれ、その結果、「英語をやりたくなった」と言ってくれました。

元来、NRIは、人材育成に大きく投資しています。社員も成長意欲が高く、勉強好きな人や目標達成にストイックな人が目立ちます。そういう社員の気質にも、今回の施策がフィットしたのだと思います。

――最終的には、事業本部全員となる1000名受講を目指しているのでしょうか。

特に目標は設けていません。どれだけ英語を使ってビジネスをするかは、人によって違います。現時点で本部員全員が英語を勉強することが必須という訳ではありません。
私たちの事業本部での事業基盤はまだまだ国内が大きく、グローバルは、チャレンジ領域。 もちろん、拡大していかなくてはなりませんから、グローバルな案件にアサインされても対応できるスキルを今から身に付けておくことは大切です。しかし、1000名全員が海外で仕事をするということはありません。自分のキャリアプランのなかにこうした研修をどう位置づけるのか、社員一人ひとりに考えてもらいたいと思います。

研修の成果は、時間をおいてから現れるものです。私たちからすれば、このプログラムを受けて高い満足度を獲得するとか、数多くの社員に受講してもらうことがゴールではありません。「成功しているかどうか」と聞かれたとしても、「まだ確信が持てない」と答えるしかないのが本音です。あくまでも、私たちのゴールはVision2022にあります。そこに向けて種をまいている段階なので、成功というよりもスタートダッシュがうまく切れたという状況です。

――今後の取り組みについて、何か課題はありますか。

外国人とスムーズに意思疎通できるようになってくると、OJT(On the Job Training)の比率がかなり高くなっていくのではないかと思っています。仕事のなかで英語を使うと、吸収力が違うこともあって大変伸びますから。ただ、現状ではシステム開発において英語でやりとりすることがほとんどないのも事実です。今後は、海外にトレーニーに行かせた若手社員の帰国報告会を開くなど、小さいイベントでも良いので複数の企画を立ち上げ、社員の関心を喚起させたいと思います。

――最後に、今後の方向性をお聞かせください。

すべての人事担当者・人材開発担当者が悩むのは、おそらく「誰にどの研修を受講させるか」だと思います。意欲がすごくある人は受けたがりますし、逆にそんなに高くない人は手を挙げません。今回の企画は裾野を広げることが目的でしたが、会社の負担で受講者全員が受けられるという段階は、もうそろそろ脱するタイミングではないかと考えています。グローバルな風土醸成という意味では、ある程度目的を果たしているからです。一方で、ここでやめるとせっかく高まったモチベーションがまた下がってしまうリスクもあります。 実際に選ばれた人たちに英語を使って仕事をする機会を提供するとか、配置を工夫するなど、いろいろと組み合わせて、単に研修で英語を勉強するだけではなく、英語を使って仕事ができる人材が育つ環境を構築していかなければなりません。それは、私たちの部署に与えられた重要課題だと考えています。

株式会社野村総合研究所 証券ソリューション事業本部 HRM室 HR企画・推進グループ 副主任 和田智行さん photo
協賛企業
Bizmatesは、オンライン英会話としては数少ない「ビジネスに特化」した英会話スクールです。通学型スクールと同等以上のクオリティで、日本人ビジネスパーソンのために特別に開発した学習プログラムにより、「ビジネスで成果をあげる英語のコミュニケーション」を独自の学習法で身につけていただけます。
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