オンライン面接のケーススタディ
スカイプや動画で選考、直接会うのは最終面接だけ
時間と場所にとらわれず採用プロセスを効率化
企業の採用担当者と応募者がビデオ電話などを使い、対面式で面接を行う「オンライン面接」。従来は在宅勤務やSOHOで働くスペシャリスト系人材を採用する際に使う例が一般的でしたが、最近はオフィスや店舗で働く一般の正社員やパート、アルバイトの採用活動においても、面接のオンライン化が進んでいます。
応募者が企業や面接会場まで直接足を運ぶという通常の面接方法では、採用側・応募側とも、時間や場所、コストの制約を受けざるをえません。応募者においては交通費や移動時間、企業にとっても会場運営の手間や費用などがかかります。オンライン面接の最大のメリットは、そうした負担を気にせず、より多くの面談が可能になることであり、それによって従来の面接方法では出会えなかった人材と出会える可能性が増えることでしょう。
サイバーエージェントは、地方大学出身者の採用を強化する目的で、2018年4月入社予定の新卒採用から、オンライン面接を実施すると発表しました。同社の地方大出身者の比率は現状で3割。これを18年度入社で5割まで引き上げることを目指し、これまではエンジニアなどの採用に限って実施していたオンライン面接を全職種に広げる予定です。
逆に、地方に本社を置く企業が、採用のターゲットを地元中心から大都市圏にも広げるために、オンライン面接を活用して、Uターン・Iターンに関心のある人材をひきつける例も増えてきました。新潟の米菓メーカー、三幸製菓が数年前から導入して話題を呼んでいる遠距離就活もその一つです。採用候補者と直接会うのは最終面接の一度きり。そこまでの選考過程はすべて、スカイプによる面接などウェブ上で進められます。
「デジタル面接」と称した動画を使う採用手法を、今春の新卒採用から本格的に導入したのは、ユニクロを運営するファーストリテイリングです。東京など大都市中心に開く初期段階の面接に、応募者が自ら撮影した動画を使ってどこからでも参加できるしくみを取り入れ、大きな反響を呼びました。同社は、東京都心の3店舗で働くアルバイトやパートの採用にも、実験的に動画を活用しています。志望動機や人生で頑張ったことなど、複数の質問に答える姿を撮影した動画を専用のサイトで受け付け、店長らが合否を判断。いつ、どこからでも応募できる利便性をアピールして、人手の確保につなげたい考えです。