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「すべての社員に優秀なバーチャル秘書を」
AIソリューション「TRAINA」が目指す働き方の未来とは(前編)

株式会社野村総合研究所/
堀 宣男さん(ビッグデータイノベーション推進部長)
小髙 徳彦さん(ビッグデータイノベーション推進部 グループマネージャー)

「ユーザーの質問は曖昧である」という前提で
対応するTRAINA

「対話型」のAIソリューションの特徴について、詳しく教えてください。

ビッグデータイノベーション推進部 グループマネージャー 小髙 徳彦さん

小髙:多くのAIは「一問一答型」です。これは業務に関する膨大な知識から、ユーザーの質問に対して最も近いものを回答するという方法。質問内容が的確であれば即座に解決へ導くことができますが、質問内容が曖昧で判別できない場合は、答えが返ってこないという問題が起こります。

そのため、AIを運用する際には「類似質問」を作る必要があります。一つの質問テーマに対して、ユーザーが曖昧に聞いてくると想定した場合の類似質問を相当数用意しておかなければ、実際の業務で機能させることはできません。社内問い合わせのFAQが1000件あるなら、その100倍である、10万件の類似質問を作らなければならないこともあります。しかし多くの企業は、このような作業に対応することが難しいでしょう。この課題を解決するため、TRAINAは質問者との対話によって、自動で適切な回答を導き出せるようにしました。

TRAINAは、どのようにして的確な回答を導き出すことができるのですか。

小髙:TRAINAは基本的に、「ユーザーの質問は曖昧である」という前提に立って作られています。そのため、曖昧な質問が寄せられれば、「あなたの言っていることはこういうことですか」と聞き返します。自然な対話を繰り返して質問の意図を絞り込み、的確な回答を出すのです。一問一答型は、事前にどんな質問が来ても回答できるように情報をインプットしますが、対話型はその名の通り、ユーザーと対話しながら回答を探り当てていく。そんなアプローチの違いがあります。類似質問を用意する必要がないので、企業の導入負担を大幅に削減できるのが強みです。

堀:世の中のチャットbotの多くは、ユーザーの質問に対する答えが決められています。「この質問が来たらこう返してね」という回答ルールは、人が手組みで増やしているわけです。これでは非常に手間がかかるし、限界があります。例えばiPhoneのAIアシスタントとして知られている「siri」は、数十人の専門スタッフが毎日、回答内容を更新し続けていると言われています。普通の企業ではここまでの規模で対応することはできませんよね。私たちも、クライアント企業すべてに向けて、ここまでの体制を作ることはできません。

対話の結果、回答が見つからないというケースもあるのでしょうか。

堀:それはもちろん、ありえます。企業への導入時にはまず、既存のFAQなどを取り込み、それをもとに対話コンテンツを作りますが、そもそも回答情報がない質問については、TRAINAも「分からない」と答えるしかありません。

しかし、TRAINAはその「分からない状態」を評価できるのです。もともとのFAQにない質問が来たり、直接解決できない質問が来たりした場合は、「このような質問がたくさん寄せられているけれど、回答がありません」と評価を出すので、それに回答するかたちでAIをどんどん発展させることができます。これが大きな強みの一つでもあります。

AIソリューションを発展させるために多くの人手を必要とするような状態は、本来の目的から逆行するものだと言えるでしょう。自己学習してナレッジを発展させていけるというAIならではの強みを生かすことが、担当部門の手間を減らし、本来的な業務に集中してもらうためには不可欠だと考えています。

 


2017/10/06実践人工知能(AI)働き方改革リモートワーク・働き方

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