人工知能やビッグデータは、働き方改革にどのように貢献できるか
~日立製作所が解明した、センサーを使った幸福感の測定と生産性向上の方法とは~(後編)
矢野 和男さん(株式会社日立製作所 研究開発グループ技師長)
「多様性に富むハピネス」を把握することが働き方改革につながる
ハピネスは、創造性やイノベーションと相関がありますか。
ハピネスと創造性については、いろんな研究が行われています。営業の生産性ではハッピーな集団とアンハッピーな集団で37%異なるという報告があります。一方、創造性は、二つの集団で300%も違うと報告されています。創造性はやらされ感があっては出てきませんから、これほどの違いになってしまうわけです。
矢野さんが腕に着けているのは、
腕の動きをデータで記録するウェアラブル端末
創造性とは、ものすごく小さなPDCAを何度も行ってきた結果として生まれるものです。人が没頭するとか夢中になるという状態で、その先に夢や希望がある。何かに追いかけられるのではなく、ある種の楽しさがそこにある状態です。そして、目の前に次の新しいステップが見えて、そこに進むと新たな進むべき道が新たに見えるような状態。このように一つのことに夢中になった状態を「フロー」と言いますが、そういう状態にならないと創造性は発揮されません。ハピネスとは前向きさですから、創造性と重なる部分が多いと言えます。
ハピネスが測定できたとしても、その方策を一律に考えることはやはりできないのでしょうか。
どうすれば、職場がハッピーになるのか。一律の方法論があると思われるかもしれませんが、そういうものはありません。一人ひとりの状況や組合せが違えば、全く異なってきます。
これは、職場改善時のデータにも表れます。コミュニケーションを増やしたほうがいいときもあれば、減らしたほうがいいときもある。長い時間働いたほうがいいときもあれば、休んだほうがいいときもある。答えにはバリエーションがあります。