[ 寄稿 : デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 ]
データを武器に、人事が進化する
~ピープル・アナリティクスのトレンドと導入の第一歩~(後編)
ピープル・アナリティクスの始め方
2016/10/31基礎、ピープル・アナリティクス、デロイト トーマツ コンサルティング
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「指標」と「ロードマップ」を生み出す5ステップ
そこで、今回我々は、落とし穴に嵌ることなく継続した取組みへとつなげるため、将来の「指標」と「ロードマップ」を生み出す具体的な導入ステップを、我々の社内での取り組みとあわせて提示したい。
具体的には、以下の五つのステップで進めることが望ましいと考えている。
ステップ1:Enterprise目線で「課題」を再整理する
ステップ2:Targetを「指標」ベースで選定する
ステップ3:Analystの協力を得てデータの状況と分析の方向性を確認する
ステップ4:Leaderと共に「ロードマップ」を描く
ステップ5:Dataの分析を行い「指標」と「ロードマップ」を検証する
各ステップのポイントを以降でご紹介したい。(図2)
図2
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ステップ1:Enterprise目線で「課題」を再整理する
・ビジネス上の課題とリンクしているか
・ピープル・アナリティクスの対象となる「人」を具体的にイメージできるか
という観点で人事課題を再整理することから開始する。
人事としては、採用、昇進・昇格、評価、研修など「人事プロセス軸」での課題は既に把握できているはずである。そこからビジネスラインと協働する上で今一度ビジネス上の課題と紐づけて整理してみることが重要である。
我々がピープル・アナリティクスの取り組みを社内で展開するにあたり、当初人事課題として「より風通しの良い組織風土への改善」や「チームリーダーのリーダーシップ開発促進」といった課題を想定していた。しかし実際にビジネスリーダーと議論をしたところ、人事課題として異論はないものの「投資」としては今一つの反応であった。
そこで改めて各ビジネスリーダーが担うサービスと組み合わせ、「コンサルティング業におけるキャリア入社者の早期立ち上がりの支援」、「製販技の各部門出身者が集まる新規事業部立ち上げ期メンバーの、継続的なチェンジマネジメント支援」、「製造業における、辺境にいる貴重なナレッジを持った技術者・研究者のナレッジトランスファー推進」と抱えるクライアントを踏まえたシーンと人を特定して話をしたところ、将来の展望を含めた多くの有効なアドバイスをもらうことができた。シーンやターゲットを特定できれば、逆にそこを起点に議論を広げることができると言える。