第1回では昨今の「AIのトレンド」を、第2回では「AIができること・苦手なこと」を見てきた。最終回にあたる第3回では、HRにおけるAIの可能性、および人事担当者に求められるものについて述べたい。
AIは雇用をどう変えていくか
ここ数年来、「AIは人間の仕事を奪うか」というテーマについて有識者より語られることが増えてきているが、これについて経済産業省は2016年4月27日に「新産業構造ビジョン ~第4次産業革命をリードする日本の戦略~ 産業構造審議会 中間整理」として発表した。同日の日本経済新聞には、以下の内容で報じられている。
経済産業省は27日、人工知能(AI)やロボットなどの技術革新によって、何も対応しなければ2030年度には国内雇用が735万人減るとの試算を発表した。労働力人口(15年平均)の1割強にあたる。海外企業にAIなどでビジネスの根幹を握られれば、日本企業の下請け化が進んで賃金の高い仕事が国内から流出すると警鐘を鳴らした。
政府がAIやロボットの就業構造への詳細な影響試算を公表したのは初めて。経産省は職業を9つに分け、15年後の従業者数の変化について「現状放置」と「変革」の2つシナリオを示した。
元となった発表資料がこちらだ。「現状放置シナリオ」の場合に国内で735万人の雇用が失われるという試算である。これらは、雇用確保と自社の成長を担う人事部にとって、無縁の問題ではない。AIをはじめとする技術動向、およびその活用について、人事は「あまりよくわからない」、「まずは様子見」と言ってはいられなくなる時代が、今まさに到来しているのではないだろうか。