デジタルレイバーのケーススタディ
デジタルレイバーは新入社員
一から教育することで、最強の労働力に
「RPA(Robotic Process Automation)」に代表されるデジタルレイバーは、従来のITシステムとはどう違うのでしょうか。それは「擬人化」という言葉からわかるように、より人間に近い役割を担っているという点にあります。例えば、パソコン内にインストールされたソフトウェアによって簡単に計算ができたり、欲しい情報を即座に取り出したりすることができます。ただし、そのためには人の手によるログイン作業、必要なデータの入力などの細かな操作が必要でした。デジタルレイバーは、実行ボタン一つでそれらの「人間の操作」まで担ってくれるのです。
デジタルレイバーが持つ人間らしさは、「教育が必要」という点にも見られます。導入してすぐに労働を代替してくれるわけではなく、デジタルレイバーには作業のコツを教え込むフェーズが必要です。企業には担当者自身が溜めた知見により「○○さんにしかできない」といった属人的な業務があります。その属人的な業務をデジタルレイバーに覚えさせるには、ルーチンワークだけでなく、数ある例外処理を覚えさせなければなりません。
デジタルレイバーを導入する際は、新入社員を迎え入れるように扱うことを求められます。白紙の状態の新入社員と同じく、従業員が知っている社内の常識やあうんの呼吸は通用しません。デジタルレイバーの特性やスキルを理解して、一から教えなければならないのです。しかし、デジタルレイバーはひとたびそれらを得ると、人間のように「疲れた」と言うことも「辞める」と言い出すこともなく、ヒューマンエラーも起こさない。扱う側が使いこなしさえすれば、非常に大きなパフォーマンスを発揮します。
デジタルレイバーが得意なことは、計算や数値チェック、ルールが決まった仕事。業務の全てを自動化させようとするのではなく、デジタルレイバーを得意も苦手も併せ持つ一従業員として捉え、適切な環境で活用することが求められます。