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ダイバーシティ&インクルージョンを「自分ごと」に
当事者視点を体感できるVRを活用した対話型研修

アクセンチュア株式会社 人事部 シニア・マネジャー 東由紀さん
株式会社シルバーウッド VR事業部 大谷匠さん
株式会社シルバーウッド VR事業部 黒田麻衣子さん

シルバーウッド育成・研修実践活用事例

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東由紀さん(アクセンチュア株式会社 人事部 シニア・マネジャー)

女性活躍推進やLGBT、障がい者雇用、外国人雇用など、企業がダイバーシティ&インクルージョンを意識しなければならない機会はますます増えています。しかし当事者でなければ、なかなか「自分ごと」としてとらえることが難しいのも事実です。こうした課題を解決するために効果的なソリューションとして注目されているのが、株式会社シルバーウッドが開発・提供するVRコンテンツを使った「VR Angle Shift(VRアングルシフト)」研修です。同社VR事業部の大谷匠さんと黒田麻衣子さん、ダイバーシティ&インクルージョンに長年携わってきた、アクセンチュア株式会社 人事部 シニア・マネジャーの東由紀さんに、VR研修の有効性などをうかがいました。

「働きにくさ、居心地の悪さ」を生んでいるのは私たちの何気ない日常会話かもしれない

ダイバーシティ&インクルージョンの進展状況、また、その課題について教えてください。

東:日本では、女性活躍推進も障がい者雇用も、法令に対応しなくてはいけないから取り組むようになった、という企業が多いように思います。グローバルにビジネスを展開している企業や外資系企業の中には、さまざまな多様性の属性に着目した取り組みが進んでいるところもありますが、女性、LGBT、障がい者など特定の属性に注目しすぎたため、ダイバーシティ&インクルージョンがなんとなく「自分ごと」ではない感覚、「自分とは違う人の話」になっているケースも見受けられます。

ダイバーシティ&インクルージョンは、特定の属性に限った話ではありません。実はアクセンチュアではインクルージョン&ダイバーシティという語順で呼んでいます。これは人それぞれ違う考え方や価値観、経験を持っていて、それを包み込んでビジネスに取り組むことにより、新しい価値が生まれることを期待する、そのためには職場におけるインクルージョンが重要である、との考え方を反映しているからです。

実現するには、「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」を誰もが持っていることを自覚し、自分の考えに固執せずに他者の意見を積極的に取り入れることで、偏見による判断を可能な限り少なくしていく必要があります。世界を見渡せば、ダイバーシティ&インクルージョンを「自分ごと」にするための取り組みが進んでいる企業も数多くありますが、日本ではまだ少ないのが実状ではないでしょうか。

黒田:そのような課題を意識して開発したのが、当社のVR研修です。例えばLGBT研修では、「LGBTの人たちがいる」と理解できたとしても、自分の生活や職場の中で接しているかもしれない、という考えまでにはなかなか結びつきません。当社のVRコンテンツは、実際の生活で接する機会があることを、臨場感のある当事者の視点に立って体験し、自分たちの何気ない発言で働きにくさや居心地の悪さを生んでいる可能性に気付くことができる内容になっています。まさに、ダイバーシティ&インクルージョンを「自分ごと」としてとらえることができるようになるのです。

VR研修を通じて「自分ごと」化できる

VR研修を通じて「自分ごと」化できる

研修の概要や特色をお聞かせください。

大谷:当社の研修はVRコンテンツだけでなく、その後に行うディスカッションやレクチャーも含めて多様性と受容性を体感していきます。VRコンテンツ自体は1本が5~10分程度。体験後はグループで感想を話し合ってもらいますが、「あのとき、とても気まずかったね」「すごく話しにくかったよね」と、自分たちが話している言葉が当事者の立場で語っていることに気づくはずです。これこそが「自分ごと」になるということで、当社の研修の最大の特色です。1回あたり2~3時間の研修で、女性、LGBT、障がい者、インクルーシブリーダーシップ、ハラスメントなど、5~6テーマを扱っています。1人1台のVRディスプレイを用意し、最大100人程度まで一度に研修を受けることが可能です。

VR体験後、泣いてしまう人も
リアルに感じられるから真摯な言葉が出てくる

株式会社シルバーウッド VR事業部 大谷匠さん 黒田麻衣子さん

株式会社シルバーウッド VR事業部
大谷匠さん 黒田麻衣子さん

アクセンチュアでもVR研修を行われたそうですね。

東:はい。例えば、LGBTをテーマにした研修では職場のシーンがリアルに再現されるので、一緒に働いている当事者がいつも感じているだろう仕事のやりにくさ、居心地の悪さが痛いほどわかります。VRコンテンツは、普通の映像を見るのとはまったく違いますね。当事者の立場をよりリアルに体験できるので、見終わった後はみんなしばらく無言になり、中には泣いてしまう人もいます。講師からグループごとの意見交換を促されて、ようやく口を開くようになりますが、「自分たちはどうすればよかったのか」をディスカッションすることで、今後の自分の行動に落とし込むことができます。

どのような方々を対象に研修を実施されたのでしょうか。

東:まず、ダイバーシティ&インクルージョンを推進する立場の人たちを対象に実施しました。当社では人事のみならず、管理職から一般職まで、現場の人が兼務で推進にかかわっています。VR研修で特に効果があると思うのは、最も真剣に考えてほしい立場なのに、ダイバーシティ&インクルージョンを身近に感じることができない層です。通常の研修では、興味のない人は「他人ごと」ととらえてしまい、研修に集中してもらえないことが多かったのですが、VR研修では目の前の出来事になるので逃げることができません。「自分ごと」として受け止めると、見終わった後のディスカッションでも、「自分にできることは何だろう」など、インクルージョンの当事者としての言葉が出てきます

VR研修は今後、どのような企業で使ってもらいたいとお考えですか。

大谷:当社では、組織内の個人が抱える働きにくさや生きにくさそのものを課題ととらえています。この課題は個人だけではなく、組織全体の有用性を左右する問題であり、そのような課題のある人たちは企業だけでなく、官公庁なども含めたあらゆる組織内にいるはずです。当社のVR研修であれば、組織の規模にかかわらず、その有効性を実感することができると考えています。

VR活用は今後、組織内のダイバーシティ&インクルージョンにどんな作用をもたらしそうですか。

東:ある人の何気ない一言が特定の人たちを排除してしまうかもしれないと感じたとき、「それはダメだよ」と注意できる、そんな自浄作用が組織にあれば、誰もが働きやすくなるはずです。「これはNG」という項目を列挙して暗記する研修と違って、VR研修は「その場」に実際にいる感覚で「自分ごと」として理解できます。ディスカッションでは、他の人の意見を聞いて「そういう視点もあったのか」と自分の考えを広げていくことも可能です。幅広い気づきが得られて、その後の行動にもきっとつながっていくはずです。


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