ITエンジニアの戦略的な採用、育成、評価、配置を実現
グローバル対応のITスキルアセスメントツール「GAIT」
日本サード・パーティ株式会社
ソリューション事業本部 人財育成コンサルティング事業部
執行役員 事業部長 田島 悠貴さん
日本サード・パーティ、育成・研修、評価・組織サーベイ・従業員満足度・エンゲージメント向上、実践
売り手市場が続くITエンジニア。採用だけでなく、評価や定着もますます難しくなっています。「自社のエンジニアは幅広いITスキルを身につけているのか」「エンジニアが持っているITスキルを正当に評価できているのか」という悩みを抱える人事担当者も多いのではないでしょうか。そんななか、IT企業だけではなく、幅広い企業に導入が広がっているのが、日本サード・パーティ株式会社のITスキルアセスメントツール「GAIT(ゲイト)」です。同社のソリューション事業本部 人財育成コンサルティング事業部 執行役員 事業部長の田島悠貴さんに、開発背景やサービスの特長、今後の展開などについてお話をうかがいました。
ITエンジニアのスキルを定量的に可視化し、競争力向上につなげる
ITエンジニアの必要性が高まるなか、貴社が感じている課題は何でしょうか。
当社は、日本に進出する海外のIT企業向けにテクニカルサービスやヘルプデスクなどの技術サービスを提供するアウトソーシング事業からスタートしました。主要事業はITサービス事業やITエンジニア育成事業などで、近年はロボティクスやデジタルマーケティング、AIインテグレーションなどの事業も展開しています。
当社が特に注目しているのは、人材の採用・育成・配置です。現在、日本では人手不足が深刻な問題になっています。業務を通じて感じているのは、ITエンジニアのスキルを可視化する難しさです。履歴書や面談などでキャリアについて確認したはずなのに、現場に入ってからギャップがあることがわかった、というケースもよくあります。採用・育成・配置の場面では、エンジニアスキルを判断する人の主観や感覚に頼りがちだからです。スキルと業務のギャップをなくすためにも、ITエンジニアが持つスキルの可視化を進めていかなければなりません。
その課題を踏まえ、「GAIT」を開発するに至った背景を教えてください。
当社の創業者は、10年前に「今後はITスキルが社会人には必須のスキルになる」と語っていました。併せて、「クラウドと呼ばれる時代が到来する」とも考えていました。当時は、すでにインターネットが普及し、SaaSが登場しはじめたころです。これからさまざまなサービスがクラウド化されていく中で、どんな人材が必要になるのかを考え、導き出したのが幅広い技術知識を持ったフルスタックエンジニアでした。そのコンセプトに基づき、世界の共通指標としてITスキルをアセスメントできるツールとして「GAIT」を開発しました。
「GAIT」にはどのような特長があるのでしょうか。
「GAIT」は、ITエンジニアのスキルレベルを定量的に可視化するアセスメントツールです。英語力を測定する手段として「TOEIC」が有名ですが、そのITエンジニア版と捉えるとイメージしやすいかもしれません。
「GAIT」には三つの特長があります。一つ目は、出題範囲が幅広いことです。データベースやOS、アプリケーション、ストレージ、セキュリティ、ネットワーク、仮想化など主要7分野を網羅しており、さまざまな技術要素に対する強みや弱みを把握できます。二つ目は、世界の共通指標として英語、中国語に対応していること。そして三つ目は、ITトレンドに沿って試験問題を常にアップデートしていることです。最新の技術動向を試験に随時反映しています。
試験はWeb上で実施するので、PCとインターネット環境があれば受験できます。人材育成担当者は、「GAIT」のスコアを試験終了後すぐに確認することが可能で、この結果は、ITエンジニアの人事評価や採用の指標、人材育成計画の基礎データとして活用されています。また、スコアレポートもマイページから後日ダウンロードできます。
DX時代のエンジニア像にマッチした「GAIT」を2020年春にリリース
「GAIT」の活用事例をお聞かせください。
2017年から2018年にかけてソフトバンク株式会社がエンジニアの育成施策検討のために利用されました。また、株式会社TSUTAYAでは、売り手市場が続くIT業界の環境下で、自社の魅力向上と優秀なIT人材確保を図るために評価制度を改革。その中でITスキルを把握するものさしとして「GAIT」を利用しています。今後は「デジタルトランスフォーメーション(DX)」に対応する組織変革に向けたメンバー選出の基準の一つとして「GAIT」を採用する企業が増えると考えています。
導入する企業に変化が出てきたそうですね。
「GAIT」はSIer系企業での導入が中心でしたが、2年ほど前からそれ以外の企業からも注目されるようになってきており、業界を問わず、DX推進に危機感を持って取り組みがはじまっていることを実感しています。このような市場の要望の変化を受けて、クラウド時代に開発した「GAIT」から、AIやIoTにも対応したDX時代にマッチする「GAIT」に大きく舵を切るべき時期だと判断し、動きはじめています。
具体的には、これまでの枠組みにとらわれない新しい「GAIT」を開発したいと考えています。提供時期は2020年春を予定。DX時代に対応した新しいバージョンでは、ビジネスリーダーやビジネスの企画推進担当者の方々の受験も想定しています。こうしたビジネスサイドの受験者も最低限知っておくべきITの最新動向や基礎技術をアセスメントに含めていく予定です。
「GAIT」が目指す未来や今後の展望を教えてください。
当社は、人材育成の領域でアセスメントとデータ分析、学習デザイン、そして研修の実施・運用というサイクルをワンストップで展開しています。これは他社にはない当社ならではの強みです。軸となるのは「GAIT」ですが、eラーニングやクラスルームトレーニング、人材育成コンサルティングなど多様なサービスを取り揃えています。今まではクラウド時代を前提にしたものでしたが、今後は、DX時代に合わせた新たなメニューも増やしていく考えです。もちろん、世界標準を意識しているのは、これからも変わりません。
日本の労働人口が減っている一方、例えばインドでは毎年150万人もの情報システム系学生が卒業しています。彼らの技術力を「GAIT」で定量評価し、日本企業のエンジニア採用のマッチングにつなげたい、という思いもあります。「GAIT」が日本市場に優秀な海外の学生を呼び込むきっかけになることを願っています。