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人材定着の秘訣は「学びたい」思いに目を向けること
現場と本社をつなぐ
コミュニケーションハブを目指す「shouin」

ピーシーフェーズ株式会社 shouin事業本部 マーケティング&セールス部 部長

中村昌広さん

ピーシーフェーズ社内コミュニケーション育成・研修実践

ピーシーフェーズ株式会社 shouin事業本部 マーケティング&セールス部 部長 中村昌広さんphoto

人事と一口に言っても、会社や業界によって悩みはさまざまです。例えば、サービス業界。店舗間でサービス品質を一定以上に保てるようにマニュアルを整備する一方、正社員よりアルバイトが多いことで実態をなかなか把握できず、本社と現場で認識のギャップが生まれやすいのも、この業界の特徴と言えるかもしれません。こうしたギャップを埋め、人材の採用・育成・定着をサポートするサービスが2018年春に誕生した「shouin(しょういん)」です。本社と現場の双方向コミュニケーションを可能にし、人事領域で生じるさまざまな課題を解決に導く「shouin」について、ピーシーフェーズ株式会社shouin事業本部 マーケティング&セールス部 部長の中村昌広さんにお話をうかがいました。

「shouin」は、本社と現場の思いをつなぐハブのような存在

貴社が提供する「shouin」は、採用や育成の負担を削減できるソリューションだそうですね。

「shouin」は、新人スタッフの効率的な戦力化と、本社と現場のコミュニケーションの円滑化を実現する、クラウドサービスです。育成面では、動画を中心としたマニュアルや業務内容に関するチェックリストを作成することで、教える側の負担を削減。従業員一人ひとりの成長が可視化されて共有されるので、店長や本社が個人の能力やモチベーションを把握しやすくなります。

コミュニケーション面では、トップダウンだった組織風土に、ボトムアップの風をもたらすことができます。サービス業の場合、これまでは基本的に店長を通す形でしか現場の意見を本社に伝えることができませんでした。しかし「shouin」であれば、現場から生まれた新たな気付きを従業員自らが動画などを使って、本社や他店に共有することができます。

「shouin」を開発するに至った経緯と社会的背景について教えてください。

現在、業界を問わず人材が不足していることは言うまでもありません。特に飲食店などのサービス業では、人材不足が店舗運営を行き詰まらせ、営業時間を見直したり、閉店を余儀なくされたりしているのが現状です。

うまく人材を採用できても、人材育成に対する熱量は店舗によって異なります。人材育成という企業にとって最も重要な事柄が属人的になっているのです。それが原因で早期離職につながり、人材不足の悪循環に陥っている店舗も少なくありません。

一言でいうと、店長の仕事が多すぎるのです。シフト表を作って、売上を管理して、店頭に立って、さらに新人採用や教育の面倒まで見るとなると、店長は休む暇もありません。「shouin」のサービス立ち上げ時に調査をしていたとき、接客のレベルが高く従業員満足度も高い店舗とそうでない店舗に明確な違いがあることがわかりました。それは、職場内のコミュニケーションです。評価の高い店舗は、店長だけでなく、従業員が積極的に周囲に声をかけ、新人を手厚く迎える空気があったのです。人材不足を解消するには、入社後の効率的な教育に加えて、従業員同士がコミュニケーションを取りながらお互いを高め合う(共創する)仕組みが必須であることを痛感しました。

開発にあたって、特に気を付けた点はありますか。

現場は日々、業務に追われています。そのため、現場にきちんと受け入れられるサービスにしたいと考えました。また、職場内のコミュニケーションを活性化するとともに、本社と現場の距離を縮めることも私たちが目指したことの一つです。現場は自分たちが主導して業務の負担を減らそうと考えている。一方、本社は企業理念を発信し、トップダウン経営を推し進めようとしている。互いの思いが一致していないことは、往々にしてあります。動画によるマニュアル、日報の電子化など、現場と本社がやりたいことを、一つずつ要素として集めていってできたのが「shouin」です。言わば、現場と本社の両者の思いをつなぐハブのような存在だと考えています。

「shouin」の画面イメージ

「shouin」の画面イメージ

定着の秘訣は、現場の「学びたい」に目を向けること

「shouin」をリリースしてまもなく1年ですが、導入企業の反応はいかがですか。

いろいろな反響をいただきますが、「shouin」は企業のニーズに合わせた使い方ができることで評価を得ています。例えば、外国人が多く、「接客は笑顔で」といった日本的な暗黙の了解が浸透していない職場がありました。そこで、なぜその企業が笑顔を大切にしているのかをリスト化し、暗黙の了解を言語化したのです。そうすることで、その企業にはバックグラウンドが違ってもスムーズに働ける仕組みが整い、高い評価をいただくことができました。

また、月に100人単位で新入社員が入社する脱毛エステサロンでは、OJTが追い付かない、という悩みがありました。そこで「shouin」の日報機能を活用し、業務における日々の困りごとをオンライン上で共有。なかなか面と向かって話す時間がとれない職場でも、先輩が後輩をメンタルケアできるようになった、と好評です。

現在、「shouin」のクライアントは複合サービス業・運輸業・人材業が中心ですが、今後は業界を広げていく予定です。

ピーシーフェーズ株式会社 shouin事業本部 マーケティング&セールス部 部長 中村昌広さんphoto

本社から店舗の一方通行ではなく、双方向のコミュニケーションという点ではいかがですか。

予想以上の効果がありました。年齢が10~20代の方は動画との親和性が高く、当初懸念されていた導入後の動画作成もスムーズにできているようです。「shouin」では、本社発信のマニュアル動画に加えて、現場が動画をアップロードすることも可能です。例えば、学生アルバイトが多数在籍している飲食店では、活躍しているアルバイトが「良い接客」の事例動画を積極的に投稿したことで、マニュアルは本社から押し付けられるものではなく、みんなで日々更新していくものである、と現場の考え方が変わったそうです。こうした意識変化は、まさに私たちが「shouin」でやりたかったことです。

「shouin」の導入を検討している企業に向けて、メッセージをお願いします。

導入企業には必ず、なぜ「shouin」を導入するのかといった哲学を本社と現場できちんと共有するようにお願いしています。いま何が問題となっていて、従業員の状態を可視化した先に何を目指すのか。それがないと、サービスを導入しても形骸化してしまいます。

また、本社スタッフの方々には「店舗」ではなく、「人」を見るマネジメントをお願いしています。本社が教えたいことだけを教えるのではなく、現場の「学びたい」「発信したい」という気持ちに目を向ければ、自律性が高まり、定着率も改善するはず。働きたくなる組織を作っていくことが、私たちのミッションです。

企業概要
ピーシーフェーズ株式会社

本社所在地:東京都渋谷区神宮前6-19-20 第15荒井ビル6F
問合せ先: tel.03-6418-1237

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ピーシーフェーズ社内コミュニケーション育成・研修実践

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