従業員の教育をワンストップサービスで支援する
「Smart Boarding」
自社独自のコンテンツと融合し、「教育生産性」を高める
株式会社FCEトレーニング・カンパニー 取締役副社長
藤原覚也さん
中小・ベンチャー企業は人材育成にあまり人数を割くことができないため、社員をうまく戦力化できず、早期離職に至ってしまうケースが少なくありません。この課題を解決するのが、FCEトレーニング・カンパニーが提供する「Smart Boarding」。教える内容を共通部分コンテンツ、自社独自コンテンツに分け、新人が好きな時間に学べる仕組みにしたことで、大きな教育成果を上げています。同時に、教える側も初期段階での教育から解放され、本来の業務やマネジメントに専念できる状況が整い、「教育生産性」を向上させることが可能になりました。このような教育環境を実現する「SmartBoarding」は、どのように開発されたのでしょうか。取締役副社長の藤原覚也さんにお話をうかがいました。
「オンボーディングサポートシステム」で、
できるだけ早く新人を合流させ、戦力化していく
貴社のサービス「Smart Boarding」は、貴社内に存在する課題がきっかけとなって開発されたそうですね。
弊社は、ベンチャーリンクからスピンアウトして設立されました。設立当初は1年以内の離職率が56%とかなり高く、大きな経営課題となっていました。そこで社長の安河内がアメリカのHR Tech Conferenceに参加し、ベンチャー企業の現状を視察。アメリカのベンチャー企業は、日本と全く視点が違うことがわかりました。アメリカには「オンボーディングサポートシステム」が当たり前のようにあったからです。新しく採用した人材を一日も早く戦力化し、自分たちの組織に合流してもらうためには何をすればいいのか。アメリカのベンチャー企業はそれを考え、実行していたんです。
「オンボーディングサポートシステム」ではまず、自分たちの会社に合流した人が、「この場所にいてもいいんだ」という「How to Live」を持ってもらえるようにします。例えば、「自宅の台所」だと思ってもらう。その次のステージが「How to Learn」で、この会社で必要なものを学びます。台所の例で言えば、代々伝わっている「レシピ」です。この二つが備わって、初めて「How to Work」という結果を出すためのステージに入るわけです。
しかし、日本の中小・ベンチャー企業の多くは、「How to Work」から始まっています。自社のやり方やノウハウ、コアとなるものがまだわかっていない入社したばかりの人材に対して、「結果を出してください」「即戦力として頑張ってください」などと言っているのです。社員側も、なるべく早く結果や成果を出したいと思っていますが、うまくいくわけもなく、早々に辞めてしまうケースが頻発しています。そこで、「オンボーディング」の考え方とHRテクノロジーを使えば、即戦力化の効率が上がるのではないかと考え、3年前に構想を固め、サービスを始めたのが「Smart Boarding」です。
それでは、「Smart Boarding」の特長をお教えください。
アメリカでは教育をインプットとマネジメントに分け、インプットの8割はVTRもしくはシステムで対応しています。フェース・トゥ・フェースでなければ教えられない内容やマネジメントの部分を分けて行うことで、学習環境を整備し、社員の生産性を向上させているのです。これを我々は「教育生産性(ラーニング・プロダクティビティ)」と呼んでいます。
一方、日本はビジネスの世界で最も「教育生産性」が低いと言われています。何でもフェース・トゥ・フェースで教えているからです。それでは、教える人、教えてもらう人の双方が時間を合わせなければいけません。企業の中で教える立場にある人にはハイ・パフォーマーが多く、日々、忙しい。そのため教えてもらう人は、ハイ・パフォーマーの時間が空くまで待っていなければなりません。
この問題を解決するためには、初期教育でのインプット、つまりティーチングの部分をVTRに録画をしておけばいい。教えてもらう人は、自分の都合の良い時間にそれを見ておくのです。インプットが終わった状態で教わった方が、教育の生産性は上がるからです。これをシステム化したのが「Smart Boarding」です。
「 Smart Boarding」を導入された企業からうかがったのですが、新入社員の受け入れを始めて、新入社員から最初に言われたのが、「こんなに教育に手厚い会社は初めてです」という言葉だったそうです。しかし、実際には1分も時間を使っていませんでした。「見ておいてください」とお願いしただけだそうです。社員からすると、自分の好きな時間にスマホやパソコンで学ぶことができ、早送りや飛ばすこともできるので、とても効率的な教育システムだと言えます。
教育機能の全体像として言うと、教えるステージには三つの段階があります。最初は、その会社に必要な「価値観・理念・マインド」。次に「正しい仕事の仕方」。例えばPDCAの回し方、生産性を上げるための工夫、といったことです。最後に、自分の業務に必要な「知識・スキル」となります。この三つのステージを意識し、新しい社員に教えていくことが重要です。また、ステージごとに、その会社独特のものと、すべてのビジネスパーソンにも必要なものがあります。すべてのビジネスパーソンにも必要なものは、弊社がVTRで作成し、既に600コンテンツあまりをアップしています。
「Smart Boarding」を導入している会社に入りたいと言う転職者
新人教育におけるOJTを仕組みとして、対応することができるわけですね。
OJTの中でも、「ティーチングの部分を仕組み化する」というイメージです。中小・ベンチャー企業など、現場で教える人が多忙な場合、新人の教育に人数(工数)をかけられません。そのため、現場に任せっぱなしになっていることも多い。しかし、常に傍らに置いて指導するのも現実的ではありません。これでは、新人が学びたいこと、学ぶべきことを体系的に習得することは難しいでしょう。
今後、どのような展開を考えていらっしゃいますか。
これまで、200社にご契約いただきました。来年中には2000社まで拡大したいと考えています。そのため、今後は共通教育コンテンツを増やしていきます。また、新たなサービス機能も付加していきます。具体的に言うと、採用機能です。きっかけは、「Smart Boarding」を取り入れている企業を紹介してほしい、という求職者からの問い合わせでした。転職を考えている理由として、会社の教育不足を挙げていらっしゃり、「Smart Boarding」なら自分の好きな時間、空いた時間に学べる機能があるので、非常に好都合だと。そして、仕事内容が合えば、そこに転職したいとおっしゃるのです。そういうニーズがあるのなら、弊社が求職者を集めて、「Smart Boarding」を導入している企業にプレゼンテーションしてもらう場を作ればいい、と考えました。
また、JTBベネフィット社との提携により、福利厚生サービスの提供も可能になりました。求職者や内定者に教育と福利厚生をセットで提供することによって、会社からのサポートの手厚さを実感してもらうことができ、内定者辞退の低減につながります。
今後さらに働き方改革が進めば、長時間労働削減が求められ、人が人に教える時間はますます減っていくと予想されます。「Smart Boarding」の果たす役割も、今後さらに大きくなっていくと考えています。
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