エンプロイージャーニーのケーススタディ
ポジティブな企業文化を醸成するために
一人ひとりの会社生活を分解する
顧客満足(CS)、顧客体験(CX)、カスタマージャーニーなど、マーケティング関連のコンセプトが浸透するなか、従業員満足(ES)、従業員体験(EX)、エンプロイージャーニーなど、従業員を対象にした施策も注目を集めています。
顧客体験が重要視されるようになった背景には、経済が成熟し、商品・サービスがコモディティ化しやすくなっていることがあります。他社製品との差別化を図るために、商品・サービスそのものの価値とともに、購入に至るまでの感情や行動に目を向けるようになっているのです。
この構造は、従業員体験においても同様です。人材採用において、今や企業は「選ぶ側」ではなく「選ばれる側」になりつつあります。SNSの発達とともに情報の透明性が高まり、従業員の不満も称賛も可視化されやすい現在、優秀な人材に入社してもらうためには「この企業に入社したら何を実現できるか」をイメージできることが重要です。
その体験を、入社から退職までまとめたものがエンプロイージャーニー。そして、それを図解化したものがエンプロイージャーニーマップです。ジャーニーマップは人事目線ではなく、従業員目線のものではなければいけません。入社したとき、何を期待しているか。いつどんな問題に直面し、どんな感情を抱くか。そのときどのようなサポートを得られるかなど。また、入社から退社までの長い期間に限らず、研修中のジャーニーマップ、オンボーディングのジャーニーマップなどと、細分化して体験を可視化する企業も増えています。
エンプロイージャーニーマップを作成する目的は、従業員が会社生活で得られる経験をより豊かなものにすること。エンプロイージャーニーマップを作成する際は、人事が想像するだけでなく、実際に従業員の声を聞くことが重要です。研修やプロジェクトごとにヒアリングを実施したり、サーベイ結果を参考にしたりするなど、現状を正確に把握することが重要です。