アダプティブラーニングのケーススタディ
各人に最適化された「オーダーメイドの学び」は
忙しい社会人の学習意欲を呼び覚ませるか?
デジタルやICT(情報通信技術)が既存産業と溶け込み、さまざまなものがつながる「X-Tech」の時代。フィンテック(FinTech)やアグリテック(AgriTech)、人事担当者には言わずと知れたHRテックもその一例です。教育分野のエドテック(EdTech)では、e-learningや学習状況管理システムなどがありますが、中でも各個人に最適化できる「アダプティブラーニング」は、教育者が目指してきた理想の姿として注目されています。
習熟度の異なる生徒が複数いる中で、教師が一方向に教鞭をとる従来の教育では、学力に基づいたクラス分けなど、大きな枠組みでの取り組みが限界でした。A地点に到達するために必要な時間や道順は、人それぞれ違うもの。アダプティブラーニングは、過去の回答を蓄積・分析することで、思考の癖や弱点を見抜き、各人に合わせたオーダーメイドの学習内容を提示してくれます。ログの取得もできるため、進度の把握など管理がしやすい、というメリットもあります。現在のところ義務教育での実用には至っていませんが、日本でも“Knewton”や“すらら”といったサービスが盛り上がりを見せています。
リクルートマネジメントソリューションズが2014年に行った「学習・キャリアに関する調査」によると、新入社員~中堅社員の半数以上が「自主的な学習に取り組んでいない」と回答しています。学習に取り組めていない理由は、「日々の仕事が忙しくて『学び』のための時間がとれない」「趣味や私生活のために自分の時間を使っている」が上位に。人事担当者にとって、日常業務に追われる従業員に、いかに効率よく学習できる環境を提供するかが課題となっています。一人ひとりに合わせた学びの最適化は、学校教育だけでなく、人材育成領域にも大きな影響を与えるものとなりそうです。