デジタルツインのケーススタディ
あらゆる業界で活躍するデジタルツイン
ビジネスモデル転換の糸口にも
コロナ禍においてもデジタルツインは大活躍しました。ニュース番組などで、マスクの種類によって飛沫の範囲が変化するシミュレーションや、公共施設においてどのように感染が広がるかといったシミュレーションを目にした人も多いのではないでしょうか。
デジタルツインは、CAD(設計支援ツール)やPLM(製品ライフサイクル管理システム)といった設計システム、3Dスキャニング、AR・VRといった多様な技術の集合体として成り立っています。特にIoT機器の普及は、デジタルツインの発展に大きく貢献しました。これまで物理世界の情報をデジタル化するには、人力でデータの出入力を行わなければなりませんでした。しかしIoT機器が広まったことで、データを自動で取得し続けることが可能となり、負担の大きい工程を経ることなくデジタル上で物理空間を再現できるようになったのです。
例えば建設業では、これまで人手で行われていた測量をドローンで取得することにより、測量工程の効率化や自動化を実現。ドローンで取得した三次元の地形データでデジタルツインをつくり、数日間かかっていた作業がほんの数十分で完了するようになりました。
スマートシティ化にもデジタルツインは役立っています。地形、交通、人流などのリアルタイムデータを統合することで、渋滞緩和やインフラ構築などに活用されています。
製造業ではかつて、購入後に製品がどのような使われ方をしているのかを追跡することが困難でした。しかし、IoT機器などにより実際に使用されている製品のデジタルツインができれば、有益なフィードバックを取得し、データを蓄積することができます。
さらに、自社の作業効率の向上のみならず、デジタルツインによりデータ自体が価値を持つようになります。デジタルツインを構築する時点で膨大なデータが必要になりますが、得られるシミュレーションや検証結果も貴重な財産となります。モノだけでなく情報も商品化できれば、そこには新たなビジネスチャンスが待っているでしょう。