電子帳簿保存法のケーススタディ
改正電子帳簿保存法でアナログ主義から脱せられるか
「デジタル経理」で働き方改革を
改正法の主なポイントは次の通りです。
(1)税務署の事前承認が不要に
これまで領収書などの原本を電子データで保存するには、税務署に申請して税務署長からの承認を受ける必要がありましたが、電子保存を希望する人や組織は承認なしでできるようになりました。領収書や請求書に限らず、帳簿も電子保存が認められます。
(2)タイムスタンプ要件
これまでは原本を取得した日から「おおむね3営業日以内」にスキャンして、タイムスタンプを付与しなければなりませんでしたが、要件が緩和され、原本の取得から「最長2ヵ月と7営業日以内」となりました。
また、スキャンする場合には原本一枚ごとに自署が必要でしたが、それも不要になりました。さらに、訂正・削除ができないシステム、または訂正・削除のログが確認できるシステムに保存する場合には、タイムスタンプの付与が不要になります。
(3)相互けん制と定期検査が不要に
スキャナ保存要件として必要だった相互けん制と定期検査も必要なくなりました。
上記の手続きの緩和に加え、罰則規定が新設されていることにも注意が必要です。電子保存したエビデンスを改ざんした場合には、重加算税が10%加重されます。これまでは35%の重加算税だったため、今後は45%になるということです。
また、これまではメールなどで送られてきたデータを印刷し、書面として保存することが容認されていましたが、今後は指定された要件に従って、電子データで管理することが必要になりました。
この流れを汲み、「デジタル経理」市場が過熱しています。タイムスタンプシステムや、スマートフォンで写真を撮るだけで手軽に経費精算ができるシステムなど、新サービスが続々と登場。デジタル経理へと移行することで、企業は経理業務を効率化し、出社率や人件費を抑えることができます。
2022年1月の改正法施行は、それぞれの企業が自社の経理オペレーションを見直し、アナログ主義から脱する契機になるかもしれません。
・参考
令和3年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しについて(国税庁)