Society 5.0のケーススタディ
情報社会から超スマート社会へ
Society 4.0の課題を払拭できるか
これまでの情報社会(Society 4.0)では、コンピュータの出現によって情報を蓄積したり分析したりすることが可能になりました。また、インターネットの普及によって情報へのアクセスが容易になりました。一方、情報社会に突入してから30年以上が経ち、情報社会におけるさまざまな課題が浮き彫りになっています。蓄積した情報が連携されておらずブラックボックス化していること、過疎化する地域や高齢者のニーズに対応しきれていないこと、情報リテラシーがある人とない人との分断が発生してしまうことなどです。
Society 5.0によって実現する社会は、IoTで全ての人とモノがつながり、さまざまな知識や情報が共有されて新しい価値を生み出すことで、Society 4.0で課題となっていたことを克服します。
Society 5.0は「サイバー空間とフィジカル空間を融合させた」とありますが、どういうことなのでしょうか。サイバー空間とはクラウドサービスのことで、フィジカル空間とは私たちが実際に生活している物理的な空間のことです。
Society 4.0においては、人間が人力でクラウドサービスにアクセスして情報を出入力していました。これがSociety 5.0になると、ロボットを活用したスマートワーク、高度なセンサーを搭載したIoTなどから、自動的にクラウド空間に情報が集約するようになります。そのビッグデータを用いてさらに豊かな社会を目指していく、という構想です。ただし、今後の社会では持続的であることが求められます。国連が提唱する「持続可能な開発目標(SDGs)」と絡めて、「Society 5.0 for SDGs」というキーワードも生まれています。
日本が「超スマート社会」へと移行していくには、課題もあります。例えば、企業においては「2025年の壁」と呼ばれるように、過去の情報が複雑に保持されすぎているためデジタルトランスフォーメーションがうまく進まないこと、日本のイノベーション力や生産性が他の先進国と比べて低いことなどが挙げられています。こうした課題を解決していくことが、Society 5.0の実現に向けて重要といえるでしょう。