テクノロジー活用で従業員一人ひとりの経験学習を実現
人財育成・評価を支援するソリューション「Core」
株式会社ウーシア 代表取締役CEO
北垣武文さん
ウーシア、評価・組織サーベイ・従業員満足度・エンゲージメント向上、社内コミュニケーション、実践
近年のビジネス環境では、現状の最適化をめざすHow型の人材ではなく、ときには既存の枠組みを壊し、イノベーションを起こせるWhat型の人財が求められています。What型の人財は、学びを日常業務に生かし成長のスパイラルを加速できる、自律的な経験学習能力が高いのが特長です。しかし、従来のように研修を実施するだけでは、こうした思考を持った従業員の育成や適正な評価はできません。その解決策となりえるサービスを提供しているのが、株式会社ウーシアです。研修成果を最大化するだけではなく、テクノロジーによって従業員育成のあり方を変革する本サービスについて、同社代表取締役CEOの北垣武文さんにうかがいました。
従業員一人ひとりを「見える化」して、研修の学びを業務につなげるループを構築
「Core」をリリースされたきっかけを教えてください。
ビジネス環境が大きく変わり、ビッグデータやAIなどさまざまなシーンで活用できるテクノロジーの導入が進むことで、あらゆるビジネスの課題が解決できるようになってきています。ただ、人財育成の観点では、いまだに決め手となるサービスが出てきていないように感じます。研修のみに頼った育成には限界があるという声も一部ではありますが、研修講師としてずっと研修現場を見てきた私は、研修自体に問題があるわけではなく、研修後に職場でその学びをどう生かしていくかが仕組みとして構築されていない点に課題を感じていました。言ってみれば、研修と職場での取り組みがまったく別のものになってしまっているわけです。
従来の研修は、学びの後のアンケートによる気づきの醸成に加えて、フォローアップとして上司との1on1ミーティングがある程度で、研修内容を実務に生かせるかどうかは従業員次第。「従業員は研修で学んだ内容の10%程度しか実践できていない」ともいわれます。そこで、研修で得た学びを業務で実践することで学びが深まり、新たな気づきを業務に再び生かしていくループを作り、やりっぱなしであった研修を「やりきる研修」へとシフトしていくための能力開発型タレントマネジメントソリューションとして「Core」をリリースしました。
「やりきる研修」の実現に向けて「Core」はどう活用できるのでしょうか。
リーダーシップ研究を行うある調査機関によれば、リーダーシップをうまく発揮できるようになった人たちのうち、70%が経験、つまり現場から学んだと答えています。また、優秀な人財は、研修で学んだことを現場ですぐに活用し、そこから新しい気づきを得て、さらに現場で再活用する、という経験学習モデルを実践できています。
しかし、誰もが同じことができるわけではありません。そこで、この経験学習モデルを実践できるようサポートするのが「Core」です。具体的な機能としては、AIを活用した研修内容に関連した質問の自動配信やリマインドによる学びの深化、相互学習の促進として受講者同士で気づきや実践を共有してディスカッションできるオンラインフォーラムなどを用意しています。さらに、コミュニティー内での活動履歴や発言内容、積極性などをデータとして蓄積することが可能。研修での学びと通常業務のシナジー効果を洗い出し、従業員一人ひとりの状況を「見える化」することができます。
「見える化」によって、優れた人財を客観的に発掘することも可能です。ハイパフォーマーとしてのポテンシャルを持っている人物、リーダーとしての素養がある人物を見つけ出し、より活躍できる部署に配置するタレントマネジメントにも活用できます。人事部や上司が見落としてしまっていた、そして本人さえ気づいていなかった秘めたポテンシャルも「見える化」できるようになります。また、1on1が機能しているかどうかも客観的に検証・共有できるので、上司の指導力アップに効果的です。
人事評価の面ではどのような活用が可能でしょうか。
人事評価は企業によって千差万別で、ブラックボックスとされてきました。今でこそ360度評価のように、できるだけ公正で客観的な評価をする流れが出てきていますが、人が人を判断するという構造上の理由から、直属の上司の判断や表面的な印象、協調性、貢献度など、わかりやすいもので評価されがちです。しかし「Core」なら、蓄積したデータを基にAIが分析・検証することで、役職、職種、部署にかかわらず、貢献度、ポテンシャルなどの従業員の評価を「見える化」することができます。従来のやり方では、なかなか客観化できなかった人事評価の部分をフラットにアウトプットできるので、人事評価の新しい指標として活用できるはずです。
人財育成のサイクルをスムーズにさせ、人の学びと成長を加速させる
「Core」に対する反響はいかがでしょうか。
現状では、データ活用をビジネスにおける最重要課題ととらえている企業を中心に導入されています。人財育成や評価を客観的に見ることができる、という声を多くいただきますね。こうしたビジネスの現場からの意見を生かしながら、「Core」が企業になくてはならないサービスとなるように、今後もバージョンアップを続けていきます。
今後の展望や目標を教えてください。
「Core」が人財育成・評価のインフラとなっていけば、研修の機会が日常業務と分断されず、人財育成のサイクルがスムーズに回っていくスキームが当たり前になると考えています。そうなれば、学びは日々の仕事の中にある、という当たり前の考え方が実現でき、研修は表面的なものではなく、仕事に直結する血肉が通ったもの、貴重な成長の機会であると考え方も変わっていくはずです。
さらに、研修や日々の業務に対する取り組み方や態度も「見える化」され、評価基準となるので人事評価も実態に沿ったものになります。結果、企業は人財が持つ、今までは数値化しにくかった部分を可視化でき、適材適所が当たり前になるので、競争力が大きく上がってくるはずです。今後は企業のみならず、学校や個人のマーケットにも視野を広げながら、「Core」を通じて人の学びと成長を加速していきたいですね。