モチベーションコンサルティングのノウハウを生かして
企業の組織変革を支援するシステム「WILL CANVAS」
株式会社JTBコミュニケーションデザイン
HRソリューション事業部 HRコンサルティング局 局長 シニアコンサルタント
伊藤太陽さん
JTBコミュニケーションデザイン、評価・組織サーベイ・従業員満足度・エンゲージメント向上、実践
組織風土改革や働き方改革を進めようとしているのに、自社の組織のあるべき姿を思い描けていない企業は多いのではないでしょうか。正しいゴールが設定されていなければ、どんなにアクションを起こしても成功にたどりつくのは難しくなってきます。こうした課題に応え、組織のありたい姿に向けて問題を可視化し、施策を計画。その実施をサポートするシステムがあります。株式会社JTBコミュニケーションデザインが提供する「WILL CANVAS(ウィルキャンバス)」です。サービスの開発に携わる同社のHRソリューション事業部 HRコンサルティング局 局長の伊藤太陽さんに、サービスの開発背景やその特長、今後の展開についてうかがいました。
モチベーションを切り口とした、20年超のコンサルティング実績が強み
企業の組織風土改革や働き方改革に関して、どのようにお考えでしょうか。
JTBコミュニケーションデザインは「想像を超えた、創造を。」をブランドスローガンにして、2016年に誕生した新しい会社です。事業領域は、ミーティング・コンベンション事業、プロモーション事業、HRコンサルティング事業をはじめ8事業。私の属するHRコンサルティング事業では、モチベーションをキーワードに、企業の組織開発や人材開発に関する問題を解決するためのサポートを行っています。
企業からは、「組織風土を改革したい」「女性活躍推進に取り組みたいが、何から手をつければいいのかわからない」「企業理念をどのように表現し、従業員へどう伝えればいいのか」「今後のビジョンをどのように描き、浸透させていけばいいのか」といったご相談を受けます。この背景には、近年はVUCA時代であること、また、多様な価値観・志向性を持った人々が一つの組織体のなかで仕事をするようになったことがあり、そのため、コミュニケーションや組織のあり方に悩む企業が増えているように感じます。
例えば、組織が掲げる理念と個人の人生観、組織のビジョンと個人のキャリアビジョン、組織が大切にする価値観と個人の価値観、これらをどうやって統合すればよいのか。企業は「組織とは何か」「私たちは何者で何を目指すのか」を改めて見つめ直し、その考えを従業員に伝えていかなければ、従業員から魅力を感じてもらえなくなります。これらの課題に対して7事業の知見・実績を踏まえた当社ならではの提案を行っています。
今回、貴社がHRテクノロジーサービスを新たに開発した経緯をお教えください。
JTBグループでは、従業員のモチベーションを分析するアンケート調査システム「やる気分析システムMSQ:Motivation of Status Quo)」を1996年にリリース。20年以上にわたり、モチベーションコンサルティングという切り口で、さまざまな企業の組織開発・人材開発を支援してきました。これまで蓄積した調査データ数は10万名以上、組織数では1,000社以上にものぼります。MSQは現在もご好評の声をいただいていますが、リリース当時と比較すると個人の価値観は多様化し、企業を取り巻く環境は大きく変わってきています。そこで2019年10月に、組織変革を支援する新たなシステムとして「WILL CANVAS」の提供を開始しました。
社会認知度No.1企業として組織と働き手の幸せに貢献していきたい
「WILL CANVAS」の特長をお教えください。
「WILL CANVAS」は、従業員に対する意識調査をベースに組織の現状を可視化し、自律的な組織変革につなげるクラウドサービスです。「自分たちのありたい姿=ウィル(意志)」をキャンバスに自由に描く、という思いをサービス名に込めました。多くの企業は事業ビジョンを中期計画のなかで策定していますが、当社が足りないと感じているのは「組織ビジョン」です。どんな人たちが集まり、どう生き生きと仕事に取り組んでいるのか、この組織ビジョンが大切だと考えます。
「WILL CANVAS」の特長は三つあります。一つ目は、組織のありたい姿を明確化することからはじめて、その指標となるKGIとKPIの設定までをしっかりとお手伝いできること。二つ目は、KPIにひもづく設問の設計です。特に重視しているのは、企業ごとの課題感やテーマに沿った設問ができる選択型設問。これによって、より具体的に現状の問題を把握し、目指すゴールに向けた施策を立案することが可能になります。残業時間や業績など、外部データの取り込みにも対応しており、クロス集計・分析により、どこに問題があるのか、把握することができます。
三つ目は、KPI達成に向けた施策選択・進捗管理やレポートをクラウドでリアルタイムに確認できること。データは部門や従業員属性ごとに確認することが可能です。経営企画部や人事部だけではなく、現場の部門長の方が自部門の結果を直接把握・進捗管理することができます。
今後の取り組みや目標・展望をお教えください。
当社には、JTBグループが20年以上にわたって培ってきたモチベーションを基軸とするコンサルティングの知見やノウハウがあり、「WILL CANVAS」の施策マスタと連動させた施策をご提案しています。例えば、社員旅行やコミュニケーション研修なども社内コミュニケーション活性化の一つとしてとらえています。また、「VISION SONG」という名称で社歌の制作も行っています。アンケートやワークショップを通じて従業員から寄せられた、社内の生の声や思いを歌詞化(可視化)。最終的には、第一線で活躍するアーティストが楽曲を制作します。こうした複合的な施策を通じて、組織変革に向けたお手伝いができるのは、当社ならではの強みだといえます。
今後は組織開発の領域でNo.1を目指していきます。組織のコミュニケーションといえばJTBコミュニケーションデザインといってもらえるような存在になることが目標です。そのコア商材となるのが、企業の組織変革を支援する「WILL CANVAS」。数だけを追いかけるわけではありませんが、3年後には導入企業500社以上を目指しています。システムだけでは解決できないさまざまなソリューションも組み合わせてご提供していくことで、組織と働く個人の幸せの実現に貢献していきたいですね。