働き方改革関連法に対応した
「リシテア」最新版をリリース
「サーベイ分析」で人事部の課題解決に向けた
新たな取り組みも
株式会社日立ソリューションズ スマートライフソリューション事業部
主管技師長 働き方改革エバンジェリスト
伊藤直子さん
株式会社日立ソリューションズ 人事総務本部 HRアナリティクスグループ 担当部長
盛井恒男さん
日立ソリューションズ、評価・組織サーベイ・従業員満足度・エンゲージメント向上、実践
「ワークスタイル変革ソリューション」を開発・リリースし、企業が抱える人事の課題解決に大きく貢献する、株式会社日立ソリューションズ。「ワークスタイル変革を提唱するからには、まずは自社の働き方を見直す」との考えから、従業員のエンゲージメントを高め、個々のパフォーマンスを最大限に発揮させるための努力を惜しまない企業でもあります。2019年4月から順次施行されている「働き方改革関連法」に対応した新機能や、2018年夏から同社人事部で始まった新たな取り組みについて、スマートライフソリューション事業部 主管技師長 働き方改革エバンジェリストの伊藤直子さんと人事総務本部 HRアナリティクスグループ 担当部長の盛井恒男さんにうかがいました。
社内トライアルを経て実装した新機能
パワーアップした「リシテア」とは
「働き方改革」に関する企業の対応についてどのようにお考えでしょうか。
伊藤:「働き方改革」が叫ばれて久しいにもかかわらず、各企業における従業員の働き方は、ここ数年、大きく変わっていませんでした。しかし、働き方改革関連法が2019年4月から施行され、企業の危機感が強まったように感じます。それまで、多くの企業が労働時間の短縮という課題に直面しながら手をこまぬいていましたが、法整備が現実のものとなり、罰則も明確になったことでいよいよ待ったなしの状況になりました。
人事総合ソリューション「リシテア」で、働き方改革関連法に対応する新機能が1月にリリースされました。
伊藤:働き方改革関連法では、残業時間の上限規制が罰則付きで制度化されました。具体的には、「年間720時間以内」「複数月平均80時間以内(休日労働を含む)」「月間100時間未満(休日労働を含む)」という上限が設けられています。また、時間外労働の原則である月45時間を超えられるのは「年6回まで」です。注意すべきなのは、この「年6回まで」を超える可能性がある社員です。月45時間という数値は、毎日20~21時まで残業していると簡単に到達してしまいます。
盛井:月45時間超の残業が年に6回までは可能という点が、社員一人ひとりの残業時間の管理を複雑化することになります。ここが今回の法改正のポイントであり、人事部が頭を悩ませる部分でもあります。
伊藤:「リシテア」最新版では、社員や組織ごとに労働時間の状況を可視化する機能を追加しました。残業時間の上限に達しそうな社員の「残り時間」をグラフで表示し、設定された値を超えると上長にメールで警告します。毎月10営業日ごろには、過去の残業サイクルからその月の「危険度傾向」も予測ができます。これにPCのログを記録する「Work Time Recorder」や、強制的にPCの電源を落とす「PC自動シャットダウンシステム」などの機能を組み合わせることで、残業時間の管理をより徹底させることができます。
新しいHRソリューションをリリースする前に、必ず自社内で検証されるそうですね。
伊藤:どんなソリューションでも、実際に社内で利用して使い勝手を把握し、改善した上でなければ、自信を持ってお客さまにご提案できません。今回の「リシテア」最新版のリリースに当たっても、2018年4月から人事部と連携して一部の部署で検証を進めてきました。
盛井:ワークスタイル変革を提唱してきた当社では、ソリューションの導入効果が上がっています。現在、社内では4月から施行された働き方改革関連法に対応した労働時間管理の徹底を進めています。
伊藤:当社は2015年にライフスタイルイノベーション事業を立ち上げ、他社に先駆けて社内の働き方改革を推進してきました。事業部と人事部が協力して看板商品である「リシテア」とコミュニケーション基盤の「Offi ce 365」を駆使し、さらにRPAやAIを使ったソリューションを加えて、多様な働き方に対応する方法を模索。そのノウハウを体系化・普遍化したサービスが、「ワークスタイル変革ソリューション」です。社内で実際に使って改善を進め、ソリューションの進化を導き出す。こうした無数のトライ&エラーに裏打ちされた経験こそが、当社最大の特長であり、強みです。
社員のメンタルヘルス問題を解決する
AI・アナリティクスが秘める可能性
貴社の人事部では新たな取り組みが始まっているそうですね。
盛井:2018年8月、人事部内にHRアナリティクスグループを立ち上げました。人事部が持つ課題をAI・アナリティクス活用によって分析し、解決していこうという機運が高まっています。日立グループでは、従業員エンゲージメントを測るサーベイを毎年実施しています。このサーベイは、日立グループ内の企業間の比較や、企業内の部署間の比較ができるうえ、経年比較が可能なので、人事施策の策定に活用してきました。今回、HRアナリティクスグループでは、当社の部署単位や職位単位で集計した結果を使って、独自に重回帰分析や構造方程式モデリングによるエンゲージメントの因果関係を分析。その結果、主任クラス以下のいわゆる若手層に顕著な潜在因子が存在することがわかり、2019年度の人事施策を策定する際に重要な情報となりました。
伊藤:IT業界はメンタルヘルスの問題で休職・離職する社員が多く、当社も人数比率は少なめではあるものの、例外ではありません。2017年にリリースした「リシテア/AI分析」は、「リシテア」に蓄積された働き方のデータをAIで分析することで、メンタルヘルスの観点でケアが必要と推測される人を検出するソリューションで、現在当社内で活用しています。
盛井:具体的な分析手法としては、過去にメンタルヘルスの問題で休職した社員とそうではない社員に分類し、統計的に明らかな差が見られる行動データを探します。例えば、毎日の出勤時間や休暇取得率などです。それをAIに学習させて、過去に休職した人に近い人を検出するのです。ただ、過去に休職した人のデータ分析から、明らかな特徴は得られるのですが、同じ特徴を持つ元気な人も存在します。しかし、一人でも多くの休職・離職する社員を減らすために、働き方をケアできるデータは生かすことができます。さらに精度を上げるため従業員の意思を測れるデータがあればもっと絞り込みができるのではないかと考え、2018年末から社員が毎朝PCを起動する際に、その日の「気分」を選んでもらう施策を取り入れています。ちょっとした遊び心がある試みですが、一定数蓄積すれば貴重なデータになると考えています。
伊藤:いずれにせよ、AIアナリティクスを実行する場合には、分析の根拠になり得る十分なデータ量の蓄積が必要です。「リシテア/工数管理」を使えば、毎日の行動記録に会議や資料作成というような詳細な情報を入力できますので、有用なデータを日々蓄積できます。社員の行動のビッグデータを確保できる点は「リシテア」の大きな特長でもあり、今後ますます磨きをかけていきたいですね。
本社所在地:東京都品川区東品川四丁目12番7号
(日立ソリューションズタワーA)
問合せ先: koho@hitachi-solutions.com