「ありがとう」レターが社員に心理的安心感を生む
コミュニケーションを可視化する「RECOG(レコグ)」
株式会社シンクスマイル 代表取締役CEO
新子 明希さん
シンクスマイル、社内コミュニケーション、評価・組織サーベイ・従業員満足度・エンゲージメント向上、実践
企業文化を醸成する制度にサンクスカードがありますが、100社始めても3年後に文化として定着するのは1社以下といわれます。企業に良い文化を定着させるポイントは三つ。一つ目は、ゴールの共有。二つ目は、毎日続けられること。三つ目は、何らかの報いがあることです。株式会社シンクスマイルはこれらの考えをもとに、企業1000社・4万回以上のコミュニケーションのAI分析を実施。チームパフォーマンスアプリ「RECOG(レコグ)」を完成させました。どのようなサービスなのか、企業にどんな成果をもたらすのか、同社代表である新子氏にサービスの特長、開発経緯、今後の方向性についてうかがいました。
1日1回社員同士で「ありがとう」を伝え、互いに行動を評価
企業分析を行われていますが、どのようなことがわかりましたか。
分析でわかったことは、組織規模や業種を問わない、組織の生産性を上げる六つの行動です。一つ目は、主体的に動く「アクティブ」。二つ目は、粘り強く最後まで遂行する「タフ」。三つ目は、速く行う「スピード」。四つ目は、想像力を働かせる「アイデア」。五つ目は、思いやりをみせる「ホスピタリティ」。六つ目は、チームへの貢献意識が高い「チームワーク」。これらを「RECOG」における行動分析の軸としています。ちなみに今回のサービス開発では、経営・組織が専門である同志社大学の太田肇教授に監修していただきました。
具体的にどのような内容のサービスなのでしょうか。
1日1回、社員同士で「ありがとう」と感謝した内容をレターに書いて贈り合い、それらを互いに評価します。現場で行うのはこれだけです。パソコンでもスマートフォンでも行えます。社員は月初に一人1000ポイントをもらい、レターの内容に応じて、「FANTASTIC!48p」「GREAT!24p」「NICE!12p」の三つから感謝の度合を選んで送付します。レターが届いたら返事として「うれしい」「気づきアリ」「やる気アップ」「MY SPECIAL」の四つからコメントを選びます。画面には自分宛だけでなく、職場や社内の人のレターも流れてくるので、そこで拍手ボタンを押すことができます。押すとレターの贈り手と受け手に各1ポイントが贈られます。当人には「拍手した人=自分を評価してくれた人」が誰かがわかり、これは心理的な安心感につながります。パフォーマンスの高い企業は心理的な安心感の度合が高いといわれており、「RECOG」を半年も続けると、現場の雰囲気は大きく変わります。レターのやり取りで社員のエンゲージメントが上がると、主体的に動く社員が増え、結果として顧客満足度も上がっていきます。
レターや評価を分析すると、どのようなことがわかりますか。
「RECOG」により個人に対する評価が可視化され、分析が可能になり、それによってアドバイスも贈れるようになります。贈ったレターの内容はAIが読み込み、先ほどの六つの行動から当てはまるものを一つから三つ選んでくれます。それらを集計すると、チームの賞賛レベルなどの状態が分析できます。また、「もらうレターより贈るレターのほうが多ければマネジャー向き」など、レターや評価を分析することで、その人にどんな気質があるのかがわかります。
「ありがとうレター」の獲得ポイントで商品をゲット
新たな制度として、獲得したポイントで商品を獲得できるようになったとお聞きしました。
2018年9月に開始したピアボーナスプログラムにより、獲得したポイントが社内通貨として使え、各社オリジナルの商品交換サイトで商品に換えることができるようになりました。福利厚生事業を展開するベネフィットワンとの提携により、レストランの食事券や映画、観劇などのエンターテインメントチケットなど、約2万メニューと交換できます。商品交換という目的が加わることで、パフォーマンス効果を加速させることができます。このポイントの換算割合は企業ごとに設定でき、サイト名や交換単位の呼び名なども自由に決めることができます。
コミュニケーションが可視化されると、組織の変化にも気付けますね。
どんな企業でも前触れなく業績が下がるということはありません。コミュニケーションが最初におかしくなって、それが一人ひとりのパフォーマンスに影響してくる。「RECOG」でコミュニケーションの変化に気付けると、社内にアラートを出すことが可能になります。これまで見えなかった社員個人に対する評価レベルを可視化でき、社員に「RECOG」を具体的な目標として認識させることができます。また、データから将来のリーダー候補、離職予備軍といった発見も可能です。企業理念に沿う動きがあれば表彰し、企業コンピテンシーを育てる活動にも使えます。また、「RECOG」は社会貢献活動と連携しており、社員一人が1ヵ月に10通以上のレターを贈ると、発展途上国の子どもたちに給食が1食贈られることになっています。
どのような企業がこのサービスを導入されているのですか。
「社員の定着率を上げたい」「セクショナリズムを解消したい」「会社の雰囲気をよくしたい」など、組織に何らかの課題がある会社が多いようです。一般のサーベイで企業文化の把握はできますが、リアルタイムでコミュニケーションを改善することはできません。企業文化に影響を与えられるようなサービスは世の中にほとんどありませんから、この「RECOG」への期待は大きいものがあります。
あるメーカーでは、営業が顧客からの感謝を「RECOG」で管理やサポート部隊に伝えるようにしたところ、逆に営業への感謝も見られるようになりました。社内のリレーションがよくなって、現場からの改善案が4倍になった企業もありますし、定着率が10%以上あがった企業もあります。また、このサービスを使うと社内で起きた出来事を全社に伝えることができますから、多店舗展開の企業や拠点が多い企業、サービス業などでも多く使っていただいています。私たちは「RECOG」を通じて、コミュニケーションの改善活動を世界中の企業に伝えていきたいと考えています。
本社所在地:東京都港区赤坂2-15-6 フィル・パーク赤坂 3F
問合せ先:info@recog.works