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人事総合ソリューション「リシテア」の1,200社164万人を超える導入実績をベースにAIやRPA技術を用いて新たな人事ソリューションを構築

株式会社日立ソリューションズ ライフスタイルイノベーション本部 働き方改革エバンジェリスト

伊藤直子さん

日立ソリューションズリモートワーク・働き方実践

株式会社日立ソリューションズ ライフスタイルイノベーション本部 働き方改革エバンジェリスト 伊藤直子さん

長時間労働や労働力不足といった労働問題を、企業はいかに解決していけばいいのか。不可欠となるのは従業員個々の能力の最大化であり、その実現にはダイバーシティや柔軟な働き方の推進が欠かせません。そして、そのような働き方の多様化を支えるうえで必要となるのがITです。日立ソリューションズは1994年から人事総合ソリューション「リシテア」を提供。これまでに1,200社164万人を超える導入実績を持ち、それらをベースに新技術であるAIやRPAを活用して、新たな人事総合ソリューションを構築しています。これまでの開発の経緯および内容、今後の方向性について、同サービスのエバンジェリストである伊藤直子さんにお話をうかがいました。

長時間労働や労働力不足の問題解決には
IT支援が必要

現在の「人・組織」の課題をどのように捉えていますか。

現在、多くの企業で経営に関わる問題となっているのは、いかに従業員それぞれの能力を最大限に発揮させ、それを正しく評価して事業に生かしていくか、ということです。従業員がその力を十分に発揮するには、ダイバーシティの推進、柔軟な働き方の導入、長時間労働の是正が不可欠です。そのうえで人事部門には人がやるべき仕事を見分け、人の個性を生かしていくことが求められます。

人の問題を解決するためには、どのようなITが必要となるのでしょうか。

「柔軟な働き方を実現する」という観点から考えてみましょう。育児や介護などを理由に従業員が辞めることを避けるには、そのための環境づくりが必要です。社員それぞれの事情を会社側が把握し、テレワークなどの働き方を用意する。その上で、必要十分なコミュニケーションツールがあり、安全で情報漏えいの心配がないセキュリティーが整った接続環境も必要です。

貴社では近年HRテクノロジーの開発に注力されていますが、その背景についてお教えください。

近年、長時間労働や将来的な労働力不足などが社会問題となっていますが、日立グループでは、ITによって解決できることがあるのではないかと考えてきました。当社は1994年から人事総合ソリューション「リシテア」を提供しています。働き方改革を支えるITソリューション群と人財データアナリティクス技術で、多様な人財が「躍動」する組織づくりをサポートしています。また、その活動を通じて蓄積してきた多くの情報があります。それらの情報を、AIで分析したり、人の作業をロボットに代行させるRPA(Robotic Process Automation)といった新しい技術を用いて効率化したりすることで、経営環境や社会の変化に対応した新しい働き方を実現していきたいと考えています。

自社で行う実証実験が成功ノウハウをもたらす

働き方改革における課題に関して、ITは具体的にどんなことを解決できますか。

柔軟な働き方の一つであるテレワークで必要となるのは、コミュニケーションツールです。当社のサービスはマイクロソフトのSkype for Businessでチャットやビデオ会議ができるので、テレワーク導入のハードルを大きく下げています。当社で行ったトライアルでは、システムに慣れたことでリモートにおける会議が当初の3倍に増えました。

また、テレワーク時に上司が「部下は本当に働いているのか不安になる」という声があり、当社のツールでは1時間ごとにランダムで3回、部下の作業画面のキャプチャーを会社に送信する機能を設けました。同時にアプリケーションのログも取れるので、部下が仕事をしているかどうかが一目瞭然です。これらの機能は今後、業務分析にも使えると期待しています。例えば、エクセル処理が長い人が多ければ部分的な自動化を考えたり、ウェブサイトでの情報収集が長ければクローリングを使うことを考えたりできます。今後は、このようなテレワークの管理支援を行っていきたいと考えています。

また、労働時間の削減では、定型業務を自動化してソフトウェアロボットに委託するRPAの施策が有効です。当社でも人事部門で65の業務を洗い出し、ロボットを作成して、繁忙期の10月に稼働させたところ、一人当たり残業時間を60時間から30時間に減らすことができました。分析してみると、財務部やIT部門などの間接部門で、月トータル2,300時間の削減が可能との予測もあり、現在ソフトウェアロボットの開発を進めています。この施策をSEや営業部門に広げると、もっと大きな効果が期待できるでしょう。

リシテアAI分析「組織ストレス予測サービス」概要

リシテアAI分析「組織ストレス予測サービス」概要

人事部門による「人事調査用データの作成から送信」のRPA適用例

人事部門による「人事調査用データの作成から送信」のRPA適用例

人事施策へのAI活用も行われているのでしょうか。

現在実施しているのは、AI分析によるメンタル予測で、2017年10月から産業医と連携して行っています。過去にメンタル不調で休職した人の働き方や労働環境の情報を集め、複数のAIで分析。どの部分のデータがメンタル不調と関連性が高いのかを把握し、それを一般の従業員に照らし合わせて危険度を見ています。

貴社のサービスの特長を教えていただけますか。

特長は三つあります。一つ目は、実証実験によるノウハウ提供です。当社のソリューションは社内で実証実験を行っており、導入の難しさなどを把握して運用ノウハウも含めて提供しています。二つ目は、豊富な導入実績です。人事総合ソリューション「リシテア」は誕生から24年を数え、1,200社164万人を超える導入実績があります。日本の就業人口で考えれば40人に一人が利用している計算になります。三つ目は、当社人事部門との連携です。当社の人事部門は開発時の協力はもちろん、営業先に出向くこともあり、人事部門の現場を理解したうえでのサービス提供を実践しています。

今後の目標および展望をお教えください。

今後充実させていきたい目標が二つあります。一つ目は、人事施策における進捗の見える化です。現状では、人事部門が行う施策の効果を見える化したり、分析したりすることができていませんので、その支援を進めたい。二つ目は、個人のバリューをより高める支援です。企業は新しい発想ができる人財や、新たなつながりを作り出せる人財を求めています。人生100年時代を見据えると、個人には今以上に自身の価値を高める努力が求められます。そこで私たちは、働く時間以外で個人への支援ができないかと考えています。人事施策とパーソナルライフを支援するソリューションをご提供することで、より企業の成長に寄与していきたいですね。

企業概要

本社所在地:東京都品川区東品川四丁目12番7号 (日立ソリューションズタワーA)
問合せ先:koho@hitachi-solutions.com

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