資生堂の働き方改革と、テレワークをサポートする
自動メークシミュレーション技術(後編)
資生堂ジャパン株式会社 人事部 人事企画室長 木村剛志さん
株式会社資生堂 宣伝・デザイン部 クリエーティブ企画室長 片岡まりさん
開発の背景を教えてください。
片岡さん:開発の中心となったのは、私も所属している資生堂 宣伝・デザイン部でした。ここは資生堂の中でも長い歴史のある部署の一つで、現在約120人の社員が所属しています。そのうち約80人がクリエーターであり、資生堂商品のパッケージや広告の企画・制作を、インハウスで行っています。TeleBeautyは、私たちが持つデザインの力をもっと社会のために使えないかと考えたところから企画されたものでした。
テレワークを利用する方が増える中で、女性ならではの悩みとして、在宅勤務中であってもオンライン会議のためにわざわざメークをしなければならなかったり、下からのアングルでの写りを気にして自信を持って臨めなかったりといったものが挙げられています。
私たちは、資生堂の技術を活かして、それらの悩みを解決できるのではないかと考えました。資生堂には、長年培ってきたメーキャップ技術やメークのトレンドに関する情報、そして1990年代初めから研究し、店頭で運用してきた実績もあるメークのシミュレーション技術があります。社内の各部門に呼びかけながら、プロトタイプを開発しました。
そして実際に多くの方に使っていただけるかたちにしたいと考え、日本マイクロソフトさんへ打診をしたのです。先方も非常に関心を持ってくださり、支援を行ってくださいました。こうして、「Skype for Business」に対応する試用モデルを開発し、同社が実施する「働き方改革週間 2016」(2016年10月17日~21日)において賛同法人による試験運用を行うことができたのです。
資生堂や、その他の企業で導入をしてみて、反響はいかがですか。
片岡さん:ありがたいことに、「こういうサービスを待っていた!」といったお声をたくさんいただいています。テレワークを行っている女性たちにとって、オンライン会議のためだけにメークを行わなければならなかったり、画面の映りによって自分に自信を無くしてしまったりすることが、実際に大きな悩みであったのだとわかりました。
また、私自身が意外だったのは、海外からも多くの反応があったことです。なんと取り上げていただいたメディアは、約40ヵ国にのぼりました。私はこれまで、「メークをせずにオンライン会議を行うことに抵抗がある」という考えは日本女性特有のものだと思っていたのですが、実は海外の女性たちも同じ悩みを抱えていたのです。
このような反響から、海外への展開などを含めて、TeleBeautyには今後さまざまな活用の可能性を感じています。