オンライン会社説明会のケーススタディ
全国各地から参加できる、新たなスタイルの会社説明会
12月解禁を受けて短期決戦の切り札に
2011年春の経団連の倫理憲章改定により、大学生の本格的な就職活動のスタートが卒業・修了学年前年の10月から12月以降へと後ろ倒しされて、2シーズン目を迎えています。14年3月卒業予定の学生を対象にした企業の採用説明会やセミナーなどの広報活動も、昨年12月1日をもって解禁となりました。
例年、人気企業の採用説明会は数分で予約が埋まってしまいます。そのうえ就職活動期間が短くなり、説明会の開催日が重なりやすくなったことで、学生は参加できる説明会の数が限られ、企業側も優秀な学生の見極めが難しくなりました。就職情報会社のマイナビの調査によると、前シーズンの採用活動で、自社や業界について「学生の興味が足りない」と感じた企業は60%を超えていたとのこと。その原因は「企業研究の時間が足りなかった学生が多かったため」と分析しています。
そこで“短期決戦”に対応し切れなかった反省から、企業、学生とも活用に力を入れているのが、ウェブセミナーとも呼ばれる「オンライン会社説明会」です。
博報堂は「日本一早い会社説明会」と銘打ち、昨年12月1日午前0時ちょうどから、同社社員によるプレゼン対決で自社と自社の仕事の魅力をPRするイベントを開催。その様子は、マイナビが運営する動画サイト「マイナビTV」で生中継され、予約した学生ら6,232人が全国各地で視聴しました。オンライン説明会には博報堂のように会場から生放送するライブ型と、録画した画像をサイトにアップするオンデマンド型があります。ライブ型の場合、チャット機能を使って学生が人事担当者に直接質問したり、アンケートに答えたりといったインタラクティブなコミュニケーションが可能で、相互理解を深めやすいのが特徴です。サービス開始以来200社以上の説明会を配信してきた、リクルートキャリアが提供する「リクナビチャンネル」では、各社1時間30分の番組放送中に交わされるチャット発言数は平均2,000件。視聴している学生の約8割がチャットに参加するといいます。
会場に足を運ぶ必要のないオンライン会社説明会は、とりわけ地方に住む学生の時間や交通費の負担を大きく軽減し、また都心の学生にとっても地方企業の情報を収集するのに大いに役立ちます。就職情報会社ディスコが実施している「就職活動モニター調査(2012年3月)」によると、2013年卒業予定の大学生を対象に12年3月時点でオンライン会社説明会の利用状況を聞いたところ、「視聴したことがある」学生は51.9%と半数を超えました。一人あたりの平均視聴社数は、ライブ中継・オンデマンド放送あわせて4.4社でした。