FemTechのケーススタディ
アメリカでは卵子凍結の福利厚生も
企業は女性の健康課題にどう関わるか
まだまだ日本ではなじみのないFemTech。具体的に、どのようなサービスがあるのでしょうか。有名なところでは生理日管理サービスが挙げられ、FemTechという言葉が存在していなかった2000年ごろから提供されています。
その後、女性関連のサービスの幅は広がりをみせています。現在では、オンラインで女性医師に相談ができるサービス、生理に特化したECサイト、ピルのオンライン診察サービスなど、月経のみならず、卵子凍結や妊活・不妊治療、産後ケア、母乳、乳がん検査など、多彩なサービスが登場しています。
FemTechが盛り上がりを見せている理由は何でしょうか。国連が提唱するSDGsの項目の一つに「ジェンダー平等」が含まれていること、女性の社会進出が進んだことで、仕事と女性の健康課題との両立という課題が顕在化したことなどが挙げられます。
日本では「健康経営」に取り組む企業が増えていますが、海外ではFemTech関連サービスを福利厚生に取り入れる動きがあります。2014年には、米Facebookが福利厚生プログラムとして、卵子凍結費用のサポートを開始。女性のキャリアに選択肢を与える制度だという賞賛の声もあれば、仕事を優先させているのではという批判の声もありました。しかしその後、Apple、Google、Netflix、Uberといった巨大企業が同様の福利厚生をスタートさせ、アメリカでは決して珍しくない制度となっています。
アメリカの調査会社ピッチブックによると、FemTech市場への投資額は2008年に世界で約2,300万ドルでしたが、2018年には3億9150万ドル規模に拡大しています。2025年には世界で500億ドルの市場規模になるとの予測もあります。日本でもさまざまな取り組みが始まっていますが、欧米と比較すると市場規模はまだまだ小さく、投資額も少ないのが現状です。しかし、2020年にはFemTech関連企業の支援を目的とするファンドが立ち上がっており、今後国内でも注目が高まっていくことが予想されます。
参考:
The top 13 VC investors in femtech startups(PitchBook)
Femtech—Time for a Digital Revolution in the Women’s Health Market(Frost & Sullivan)