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【ヨミ】ラーニング エクスペリエンス プラットフォーム LXP

「LXP」とは、Learning Experience Platformの略。「LEP」と呼ばれることもあります。直訳すると「学習体験プラットフォーム」で、受講者のユーザー体験(UX)向上に焦点を当てた学習ツールです。学習内容は受講者ごとにパーソナライズされて、受講者の特性に沿ったコンテンツがキュレーションされる仕組みになっています。eラーニングで耳にすることが多い「LMS(Learning Management System)」との相違点は、自由度の高さ。LXPはより受講者の生活や特性に沿った設計で、コンテンツから学習環境まで自由にデザインされていることが特長です。

LXPラーニング・エクスペリエンス・プラットフォームe-ラーニング研修

LXPのケーススタディ

従業員の成長に寄与しているのは、
研修ではなく経験だった

新入社員研修やマネジメント研修など、企業は実にさまざまな研修を従業員に対して行っています。しかし、それらは本当に従業員の自己形成に寄与しているのでしょうか。「70:20:10の法則」というリーダーシップ開発における法則では、人が成長するときの要素を「70%が経験、20%が他者との関わり、10%が研修」であるとしています。

1990年代に生まれたLMSは、現在でも自習型コンテンツとして主流になっています。しかし、アメリカでは「LMSはもう古いのではないか」という考え方もあるようです。「研修」コンテンツに労力を注ぐのではなく、成長の70%に寄与するとされる「経験」を研修とひもづけ、従業員の学びにつなげていこうとする多面的なアプローチ手法「LXP」が生まれたからです。仕事や日常の流れのなかで自然に学ぶことで、学習内容の定着率を上げていけるのではないか、というアプローチです。

長時間の動画を見ることが苦手な人は少なくありませんが、LXPでは1本4分以内の動画であるケースが多く、会社の休憩時間や通勤中にも手軽に学ぶことができます。

また、オウケイウェイヴ総研の調査により、会社員の約9割が業務中にインターネット検索で調べものをしていることがわかりました。こうした「調べものをする時間」を減らし、生産性を高めながら学習することができる仕組みとしてもLXPは期待されています。よく検索されている内容を調査し、アドイン機能などとして追加することで、従業員のためにキュレーションされ、カスタマイズされた、業務中に学べる学習プラットフォームとなるからです。

しかしLXPは、LMPに代わるものではなく、独自のプラットフォームとして捉えた方がよいでしょう。LMSでは、新入社員研修やコンプライアンス研修といった、研修内容の流れがある程度決まっていて、受講の有無を追跡する必要のあるコンテンツにおいて力を発揮します。対するLXPは、リーダーシップやクリエイティビティといた、個人の特性によって効果的なアプローチ手法が異なる領域に適しています。どちらか一方を選ぶのではなく、目的に応じて使い分けることが、従業員にとっての効果的な学びにつながるといえます。

企画・編集:『日本の人事部』編集部