入退社手続き、年末調整、雇用契約書作成……
「SmartHR」は人事を煩雑なペーパーワークから解放する
株式会社SmartHR 代表取締役 CEO
宮田昇始さん
「働き方改革」「戦略人事」といったキーワードが注目され、人事にも経営を支える新たな役割が求められている現代。しかし実際には、人事が大量のペーパーワークに追われ、制度改革や人材開発、タレントマネジメントなど「人事本来の仕事」に取り組むための時間をなかなか持てない、という企業も多いのではないでしょうか。そうした定型業務から人事を解放し、コア業務に専念する時間を生み出す画期的サービスとして、利用企業を急速に増やしているのが「SmartHR」です。同サービスを開発・運営している株式会社SmartHRの代表取締役CEO・宮田昇始さんに、その特色や導入効果、今後の展開などについて詳しくうかがいました。
人事・労務の業務効率を
「3倍」に伸ばすクラウドサービス
「 SmartHR」の開発にはどのような背景があったのでしょうか。
中長期で見た場合、人事労務には大きな問題が三つあると考えています。一つ目は、労働人口の減少です。今後40年間で、日本の労働人口はほぼ半分になると言われています。二つ目は「働き方改革」でも促されている、労働時間の削減。労働人口が減るにもかかわらず、一人当たりの労働時間も減らしていかなければなりません。三つ目は、さまざまな業務が今後AIなどに置き換わっていくため、そういった業務に従事していた人たちの新たなキャリアを考えなければならないことです。
企業の人事労務を担う皆さんは、この難しい三つの問題に向き合っていかなくてはならないのですが、一方で人事労務に携わる方々こそ、日々の業務に追われているのが現実です。繁忙期には、残業や休日出勤も少なくありません。なぜ、そこまで忙しいのか。その仕事の中身を分析してみると、実は入退社手続きや従業員情報の管理、年末調整の書類作成など、いわゆる「ペーパーワーク」に多大な時間が費やされていることがわかります。
また、人事労務関係の書類には専門性を必要とされるものが多く、管轄する役所もハローワーク、年金事務所、健康保険組合、労働基準監督署など多岐にわたります。また、飲食やアパレル業など多店舗展開している企業や、地方に拠点を持つ企業の場合、年末調整シーズンなどには拠点からの問い合わせに対応するだけでも大変だという話をよく聞きます。しかも、これらの業務はミスがなくて当然と見られがちな一方で、付加価値をつけにくい業務でもあります。私たちは、これこそがまず解決されるべき課題だと考えました。
人事を煩雑なペーパーワークから解放することがコンセプトというわけですね。
その通りです。「SmartHR」を一言で表すと、人事労務の書類作成や役所への電子申請、従業員データベースの作成、給与明細の発行などが簡単にできるクラウドサービスです。たとえば入社手続きなら、新入社員自身がスマートフォンから、入社手続きに必要な情報を入力するだけ。自宅でも簡単にできるので、事前に済ませれば、入社日にあわせて役所への申請が可能です。とてもわかりやすいインターフェースなので、専門的な知識がなくても迷うことはありません。人事が入社日や給与などの情報を入力すれば、従業員データベースに加わります。役所への提出もそのままオンラインで可能です。
130人規模のある企業では、「SmartHR」の導入で人事・労務のペーパーワークに費やしていた時間が約3分の1になったそうです。空いた時間で、本来取り組みたかった副業解禁、リモートワーク、フレックスタイム制導入といった制度整備を進めることができました。また、全国に約70店舗を持つ飲食チェーンでは、本社の管理部門と店舗との書類のやりとりを郵便やFAXで行っていましたが、「送った」「届いていない」などストレスが伴うやりとりが発生するだけでなく、個人情報が途中で流出するリスクが課題となっていました。「SmartHR」の導入によってセキュリティーの問題は解消され、労務にかかる時間の大幅な削減を実現しています。その人事労務担当者の方は、かつて当たり前だった残業時間が減り、社会保険労務士の資格取得のために勉強を始めたそうです。人事労務担当者の意識を変え、「働き方改革」にも貢献するサービスとなっているわけです。
「 SmartHR」はリリースから約2年4ヵ月。すでに1万社以上にご利用いただいています。毎月1,000社のペースで伸びており、継続利用率が99.7%と非常に高いことも特徴です。現在では中小企業から約1万人規模の大企業にまで、導入が広がっています。
法律や制度、書式の頻繁な変更にも
リアルタイムで対応
「 SmartHR」の強みはどのようなところにあるのでしょうか。
人事労務関連の法律や書式は頻繁に変わります。2年前のマイナンバー制度導入は記憶に新しいところですが、それ以降もさまざまな変更がありました。そうした変更にもきわめてスピーディーに対応できるのがクラウドの強みです。ソフトの買い替えやアップデートの心配を一切することなく、常に最新のサービスをご利用になれます。
セキュリティー面では、システムの信頼性を厳重に担保しているのはもちろん、人為的要因によるデータ流出を防ぐ手立てもさまざまに講じています。たとえば、二段階認証を採用しているので、うっかりパソコンを紛失しても、簡単にロックを解除されることはありません。また、すべての操作履歴が監査ログとして記録される仕組みになっていて、悪意を持った人物が、こっそりデータを持ち出すといったことも事実上不可能です。
社労士と顧問契約されている企業にとっても「SmartHR」は非常に大きな効果を発揮します。社労士の先生方にとってもペーパーワークは大きな負担です。しかし、「SmartHR」によって手続き業務が効率化されると、生み出された時間で企業の制度設計や労務トラブルの相談など、専門性を生かした付加価値の高い仕事に時間を多く割けるようになります。「SmartHR」によって、複数の顧問先を管理することができますし、画面上で最新の情報を共有することも可能です。最近では、手続きは「SmartHR」で、相談は社労士の先生へ、といった使い方をされる企業が急速に増えています。
本社所在地:東京都千代田区麹町2-1 PMO半蔵門9F
問合せ先:info@smarthr.co.jp