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単純作業はロボットに、人間はより高付加価値な仕事へ
~リコージャパンが導入するRPAとは?~(後編)

飯沼 満さん(リコージャパン株式会社 執行役員 経営企画事業本部 構造改革推進本部 本部長)
南雲 敏明さん(リコージャパン株式会社 経営企画事業本部 構造改革推進本部 システム開発室 RPA開発グループ)

リコージャパン株式会社 単純作業はロボットに。人間はより高付加価値な仕事へ

リコーの各種製品を国内の顧客に届けている、リコージャパン。販売に関する業務を効率化するため、2016年7月から他社に先駆け、ソフトウエアのロボットを活用するRPA(Robotic Process Automation)を導入しています。前編では、リコージャパンがこれまで行った業務プロセス改善の取り組みや、RPAの導入を決めた経緯をうかがいました。企業にRPAの導入を進めていく上で、人事の果たす役割は大きなものとなりそうですが、人事は具体的に何をすればいいのでしょうか。引き続き、飯沼さんと南雲さんに詳しいお話をうかがいました。

リコージャパン株式会社 執行役員 経営企画事業本部 構造改革推進本部 本部長 飯沼 満さん
飯沼 満さん(イイヌマ ミツル)
リコージャパン株式会社 執行役員 経営企画事業本部 構造改革推進本部 本部長

1988年、株式会社リコーに入社。主に経理畑を歩き、事業計画の編成や業績管理などを担当。2003年にグループ経理企画室長、2008年にリコー中部株式会社 取締役 経営企画室長を経て、2012年に、リコービジネスエキスパート株式会社の社長に就任。国内販売会社の販売業務の集約とBPRを推進する。2014年にリコージャパン株式会社と統合し、現在に至る。

リコージャパン株式会社 経営企画事業本部 構造改革推進本部 システム開発室 RPA開発グループ 南雲 敏明さん
南雲 敏明さん(ナグモ トシアキ)
リコージャパン株式会社 経営企画事業本部 構造改革推進本部 システム開発室 RPA開発グループ

入社以来14年間営業職を担当。事業企画、商品企画部、Netチャネル販売企画部門などを経て、2008年にリコービジネスエキスパート株式会社の設立にあわせ、業務企画部門責任者として着任。販売業務のBPR活動を推進する。2014年にリコージャパン株式会社と統合し、業務企画室室長に着任。2016年よりRPAを推進し、2017年4月よりRPA開発グループに配属。

工数の削減効果が90%を超える業務領域も
パイロット導入から全社での展開へ

RPAのパイロット導入は、どのように進められたのでしょうか。

南雲:販売業務センターで行っている業務の中で割合が大きかったのは、「入力系」と「集計系」、複数の要素を突き合わせる「照合系」の三つでした。これらの三つのカテゴリーの中から、パイロットに適しているという観点で、プロセスが短く、Webブラウザー上の操作が必要な業務である、「複数システムの転記作業」「売掛金・入金消し込み」「案件別マスタ登録」「ネット注文の契約システム連携」の四つをピックアップ。パイロット導入の対象としました。

たとえば「売掛金・入金消し込み」は、請求書の金額と実際の入金額を照合する作業です。金額が一致しない場合は、人の目で判断する必要がありますが、この「人の目」をロボットで代替しようと考えたのです。また、「案件別マスタ登録」は、案件ごとに価格をシステムに登録する作業で、オペレーターが入力していたのですが、ロボットでも処理できると判断しました。

RPA導入の第一歩は、ロボットに作業を覚えさせることから始まりますが、その工程は三つのフローに分かれます。まずは、「作業ステップの記録」です。エクセルや業務システムの画面を専用ソフトに表示させた状態で実際の作業を行えば、ロボットが自動的にその作業を記憶してくれます。次に、作業と作業をフローでつなぎ、「業務フローの定義」を行います。最後に、繰り返しの有無や条件の判断基準など、「詳細ルールの定義」を行えば、ロボットがトレースして動いてくれます。

従来のITツールでの自動化には、プログラミングのスキルが必要でしたが、RPAでは、実際の作業を覚えさせるだけなので、簡単に設定が可能です。内容にもよりますが、導入後は人間の数倍〜数十倍のスピードで業務をこなしてくれます。

リコージャパン株式会社:パイロット導入の効果
▲RPA(ベーシックロボ)の作成イメージ

パイロット導入によって出た結果は、どうだったのでしょうか。また、それらをどのように評価されましたか。

飯沼:処理時間ベースで見ると、工数の削減に大きな効果がありました。「複数システムの転記作業」は90.6%、「売掛金入金消し込み」は42.4%、「案件別マスタ登録」は66.7%、「ネット注文の契約システム連携」は94.3%の削減効果が算出されたのです。業務ステップベースでの効果も併せて検証すると、集計系で85%、照合系で55%、入力系で81%をロボット化できるとの結論に至りました。

リコージャパン株式会社:パイロット導入の効果
▲パイロット導入の効果

パイロット導入は、それぞれの業務担当者と協力しながら進めました。各担当者には実際にRPAを使ってみた結果を評価してもらっていますが、処理速度のスピードや効率化のメリットだけではなく、「精神的負荷が減った」との声を多く聞きました。「自動化によって、納期や作業のミスに関する精神的な負荷から解放された」といった意見もありました。

RPAを導入することで、これまではミスをなくすために何重にも行っていたチェックも、不要になります。その分、締め切りをぎりぎりまで伸ばすことができるので、業務を渡す営業側もメリットを享受できるでしょう。今後は、これまで人間が行う前提で設計されていた業務プロセスを、ロボットによって自動化される前提で、再構築していくことが必要です。


2017/07/06実践活用事例リコージャパン業務効率化RPA/ロボティック・プロセス・オートメーション

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