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日本の人事部 人的資本経営

【ヨミ】インショウカンリ 印象管理

「印象管理」とは、他者が自分に対して抱く印象を、好ましい方向にコントロールしようとする心理的行動のこと。米国の社会学者アーヴィング・ゴッフマンによって概念化されました。企業においては、面接での自己アピールや、上司に対する献身的な態度の強調など、自分をより良く見せるための振る舞いとして現れます。適度な印象管理は円滑な人間関係の構築につながるポジティブな側面を持ちます。一方で、過度な誇張や迎合は、人事評価の客観性をゆがめ、組織の健全性を損なうリスクもはらんでいます。評価者はそのメカニズムを理解することが重要です。

コミュニケーション人事評価

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印象管理のケーススタディ

評価をゆがめる過度なアピール
印象管理の実態と適切な処方箋

印象管理には、自身の能力や成果を強く主張する「自己高揚的行動」と、相手を褒めたり意見に同調したりして好意を獲得しようとする「他者高揚的行動」の二つが存在します。職場においては他者からの評価が自身の立場や報酬に影響するため、こういった行動は、組織内で有利なポジションを確保するための生存戦略と言えます。

職場における印象管理は、日常業務のさまざまな場面で観察されます。ネガティブな側面ばかりではなく、適度な印象管理は、ビジネスマナーや身だしなみを整えるモチベーションとなり、周囲との良好なコミュニケーションを促進します。顧客に対して誠実な態度を演じることで信頼を獲得し、業績向上につながることも。「期待される役割」を演じようと努める過程で、本人のスキルが向上し、自己成長を遂げるケースも少なくありません。

一方で、行き過ぎた印象管理は組織に悪影響を及ぼしかねません。採用面接において実力以上の虚偽アピールを行ったり、遅くまで残業をして「頑張っている姿」だけを過剰に強調したりする行為が典型例です。上司へのアピールや迎合が上手な社員ばかりが高く評価され、目立たなくても地道に成果を上げている社員が正当に評価されないと、組織全体の士気が大きく低下し、離職の引き金にもなるリスクもあります。

人事担当者や管理職は、こうした社員の印象管理による「見せかけの姿」に惑わされないように注意を払う必要があります。評価の客観性を保つためには、ハロー効果などの認知バイアスを正しく理解し、評価者研修でマネジメント層の評価スキルを底上げすることが不可欠です。また、目標管理制度(MBO)における定量的な成果指標の導入や、多面的な視点を取り入れる360度評価の活用も有効です。事実に基づく公平な評価基準の運用が求められます。

社員が過剰な印象管理に走ってしまう背景には、失敗が許されない減点主義や、上司の個人的な好悪が反映されやすい評価風土が潜んでいるケースが少なくありません。企業に求められるのは、心理的安全性を高め、ありのままの意見や課題、時には失敗も共有できるオープンな組織文化を醸成すること。透明性の高い評価制度と風通しの良い職場環境を整えることで、印象管理の負の側面を抑え込み、健全な組織成長と公平な人材マネジメントを実現できるでしょう。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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