人材の価値を最大限に引き出し、企業の持続的な成長を実現する

日本の人事部 人的資本経営

【ヨミ】ホワイトハラスメント ホワイトハラスメント

「ホワイトハラスメント(ホワハラ)」とは、上司が部下に対して過度に配慮し、成長機会ややりがいを奪ってしまう状態のことです。働き方改革やハラスメント防止への意識が高まる中、上司がパワハラを恐れるあまり、適切な指導やフィードバックを避けたり、難易度の高い仕事を任せなかったりすることで発生します。良かれと思った「優しさ」が、かえって若手社員に「このままでは自分の市場価値が下がる」という不安を与え、モチベーションの低下や予期せぬ離職を引き起こす新たな組織課題として注目されています。

ハラスメント早期離職ホワイト企業

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ホワイトハラスメントのケーススタディ

パワハラを恐れる“過剰な配慮”
若手の離職を招く実像と解決策

ホワイトハラスメントが急増している背景には、管理職の「事なかれ主義」と組織的なリスク回避の姿勢があります。2020年以降のパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)施行に伴い、企業内で「厳しい指導は避けるべき」という認識が急速に広まりました。部下との摩擦やハラスメント認定を恐れるあまり、ミスをしても注意しなかったり、残業を防ぐために成長につながる重要な業務を与えなかったりするケースが増えています。

こうした「過剰に守られた環境」は、労働環境の良い「ホワイト企業」の象徴のように思えるかもしれません。しかし、現場で働く若手社員にとっては、自身の成長やキャリア形成を阻害される深刻な問題になり得ます。業務負荷が極端に低い職場に対して、「他社で通用しなくなる」という危機感を抱く若手社員も少なくありません。同世代が厳しい環境でスキルを磨いている中、自分だけが取り残される焦燥感から、成長の機会を求めて早期退職してしまうという現象が起きています。

具体的には、「失敗させないために補助的な作業しか振らない」「本人の意向を確認せず、育児などのライフイベントを理由に責任あるポジションから外す」などが挙げられます。これらは、上司の無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)に基づく過剰な配慮です。多様性を尊重しているようで、実は個人の意欲やポテンシャルをつぶしかねません。行き過ぎた場合は、パワハラの類型である「過小な要求」に該当するリスクも潜んでいます。

人事部門は「配慮」と「機会提供」のバランスを再構築する必要があります。まずは、「指導とパワハラの線引き」をガイドラインなどで明確化し、研修などを通して、管理職に適切なフィードバックの手法を伝えることが不可欠です。業務の難易度を下げるのではなく、高い目標を設定した上で、その達成に向けて上司がどう伴走しサポートするかに焦点を当てるべきでしょう。

さらに、定期的な1on1ミーティングの場を設け、若手社員自身がどのようなキャリアを描き、どの程度の挑戦を望んでいるのかを個別に対話する仕組みも重要です。企業が短期的なリスク回避のみを優先する姿勢を見直し、「厳しさ」をむやみに排除するのではなく、リスペクトと期待に基づく「意図のある指導」を組織文化として根付かせることが、優秀な人材の定着と企業の持続的な成長に直結します。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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