株式会社クレディセゾン:
がんとともに生きていく時代
社員が治療と仕事を両立するために人事ができることとは(前編)
株式会社クレディセゾン 取締役 営業推進事業部長 兼 戦略人事部 キャリア開発室長 武田 雅子さん
なんでも話し合える信頼関係が仕事と治療との両立を可能に
貴社には、がん患者をサポートするための制度がありますか。
特にがん患者を対象にしたものはありません。その他の傷病と同じように、傷病休職制度や短時間勤務制度、健康相談など一通りの制度でサポートしています。2008年には復職支援制度を導入しました。復職前に自宅でのプログラムをクリアして、産業医と復職面談の上、必要に応じて短時間勤務から復職をスタートさせる、というものです。これはがんの治療を行う社員だけでなく、メンタルに不安を抱える社員にとっても有効な制度だと思います。人事制度を一律に適用するのではなく、本人としっかり話し合いながら、なるべく無理のないように職場に戻ってこられるよう、サポートします。
私ががんになったときには制度がありませんでしたが、非時間管理者であったこともあり、部長にも同僚にも了承を得た上で、朝、放射線治療を行ってから11時ごろに出社したりしていました。治療は毎日でその期間は出張できませんし、リンパ節郭清をしていて、重い荷物も持てないから、先に荷物を出張先へ送ってもらって、私だけ移動すればいいようにする、といったようにやりくりもしていました。私が治療などで抜けるシーンがあっても、その年の採用や研修を止めるわけにはいきませんから、それを踏まえてどういうふうに仕事を達成できるのか、周りのみんなも自然に考えてくれたんです。
それだけのチームワークが発揮されるためには、普段からのコミュニケーションも重要ですよね。
確かにそうですね。私に限らず、メンバー同士がプライベートのことも含めてお互いによく知っていますし、がんを告白したときも、ある程度は受け止めてくれるだろう、という自信がありました。みんなで仕事に取り組んでこの困難を乗り越えていこう、と。そのためには、普段からの信頼関係が大事ですね。日ごろから、どのようにチーム単位で仕事を進めていくのか、時にはフォーメーションを変えて、リーダーも含めて柔軟に対応する、ということです。
当社の場合、女性比率が正社員の77%ということもあって、産休や育休でメンバーが抜けるのは日常のことです。また、子育てをしていると、子どもが熱を出すなど、不測の事態が起こることもあります。そうなると、本人はどんなに仕事をしたくても子どものことを優先しなければならないので、周りが手を差し伸べるしかありません。