人生100年時代の働き方を考える

健康経営 powered by「日本の人事部」

印刷する印刷する 

【ヨミ】ダブリューエイチオーエイチピーキュー

WHO-HPQ(Health and work Performance Questionnaire)

WHO(世界保健機関)が公開している「健康と労働パフォーマンスに関する質問紙(Health and work Performance Questionnaire)」のこと。ハーバード大学 教授のロナルド・ケスラー氏らによって開発され、2013年には日本語版が完成しました。日本では、健康経営への関心の高まりから、従業員のプレゼンティーイズム(欠勤には至っていないものの生産性が低下している状態)の可視化と生産性向上を目指す企業が増えています。数値化の難しいプレゼンティーイズムを定量的に測定できる指標として、WHO-HPQを採用する企業が増えています。

ケーススタディ

見えづらい従業員のプレゼンティーイズム
生産性の低下をコスト換算すると?

仕事を休むほどではないけれど、なんとなく調子が悪い。誰しもそんな日はあるものです。例えば、腰痛や花粉症がつらいときや、気持ちが落ち込む出来事があったとき。これらを理由に休むことはないが、会社に行ってもなかなか集中できない。このように欠勤には至らないものの、身体的・精神的な不調からパフォーマンスが下がってしまう状態を「プレゼンティーイズム」といいます。

プレゼンティーイズムは、病欠のように客観的事実として把握しやすい「アブセンティーイズム」とは異なり、可視化が難しい問題です。さらに、アブセンティーイズムよりも、プレゼンティーイズムの生産性低下による損失のほうが総量としては大きいとも言われています。日本では健康経営に取り組む企業が増えていますが、健康経営銘柄を取得するための項目にプレゼンティーイズムが入っていることで、測定ニーズが増しているのです。

WHO-HPQは、可視化しづらい概念を定量的に測れるという点がメリットです。プレゼンティーイズムによってどのくらいの損失が出ているかを算出することで、改善の必要性を明らかにすることができます。当初は英語や主要外国語版しかありませんでしたが、2013年には日本語版が完成。日本での浸透を後押ししました。

質問紙には約10個の質問項目が並び、「過去7日間に、おおよそ何時間働きましたか?」「0から10までの尺度で、過去4週間のあなたの総合的なパフォーマンスをどのように評価しますか?」など、数字で答える質問が続きます。

前提として、生産性を客観的データにすることは難しいもの。工場など、アウトプットが明確な業態ならまだしも、サービス業やそれに関連する職種の場合、一人当たりのアウトプットを割り出すことは困難です。WHO-HPQも完全ではなく、回答者が主観で答える形式であるため、パーソナリティや国民性によっても差が生まれやすいという課題があります。

この指標を活用するには、時系列に注目することが有効です。自己アピールが得意なAさんと、控え目な性格のBさんとでは、自己評価の程度に差が生まれやすいですが、「1年前のAさんと今のAさん」あるいは「1年前のBさんと今のBさん」を比べれば、相対的にパフォーマンスが高い状態かどうかを判断することができます。

アンケートによってプレゼンティーイズムという概念を知ることで、従業員の自己理解が促進し、生産性に対する意識が高まるというメリットもあります。WHO-HPQを活用することは、従業員一人ひとりが能力を発揮し、組織の成果につなげる上でも効果的といえるでしょう

企画・編集:『日本の人事部』編集部