サブスクリプションのケーススタディ
時代は「所有」から「利用」へ
カスタマーサクセスが成功の鍵
2015年ごろから、じわじわと存在感を現してきた「サブスク」。2019年には、「ユーキャン新語・流行語大賞」にもノミネートされ、近年のビジネスモデルのトレンドとも言えるほど、サブスクリプション型のサービスは増えています。矢野経済研究所のサブスクリプションサービス市場に関する調査では、2019年度に6835億2900万円だった国内市場規模が、2020年度は7873億円にまで拡大すると予測。さらに2024年度には、1兆2117億円まで拡大すると予測しています。
なぜこれほどサブスクリプション市場が過熱したのでしょうか。背景には、インターネットとテクノロジーの発展があります。2007年にiPhoneが発売され、スマートフォンの普及が進みました。また、2020年に入って日本でも5G(第5世代移動通信システム)の商用サービスがスタートするなど、通信速度が過去と比較して飛躍的に向上しました。これにより、インターネット経由でのクラウドサービスの利用が一般的になり、従来の買い切りダウンロード型から「所有せず、利用する」というスタイルへの転換を後押ししました。
サブスクリプション型のサービスは、事業者とユーザーそれぞれにどのようなメリットとデメリットをもたらすのでしょうか。事業者側のメリットは、買い切りと比較して継続的な収益を期待できること、顧客の利用データを蓄積・分析できること、買い切りよりも新規ユーザーにとってのハードルが低いことなどがあります。デメリットは、ローンチの段階から一定のコンテンツが必要になるため収益化まで時間がかかること、サブスクリプション型サービスに関する知見が必要になること、満足度の高いサービスを継続して提供することができなければ解約される可能性があることなどが挙げられます。
ユーザー側のメリットは、買い切りと比べて低コストで始められること、アップデートの追加料金が不要で常に最新版を使えること、いつでも解約できること。デメリットは、利用しなかった月でも料金が発生すること、利用期間が長期にわたった場合に買い切りよりも料金がかさむこと、複数のサービスを契約して月単位の支払いが大きくなることなどが考えられます。
人事や労務関連でも勤怠管理や人材管理システムなどで、サブスクリプション型のサービスが多数提供されています。導入ハードルが低い分、顧客の声を素早くサービスに反映し、機能やユーザービリティを改善し続けることが成功のポイント。ダイレクトに反応が返ってくるため、カスタマーサクセスを追求し続けることが重要です。
・参考
サブスクリプションサービス市場に関する調査(矢野経済研究所)