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特別講演[6-a]

グローバル人材育成を担う企業派遣留学
~欧米圏・BRICsでの最新動向と導入事例

株式会社毎日エデュケーション 法人研修チーム マネージャー
安部 宏氏(あべ・ひろし)
プロフィール:大学卒業後ニューヨークへ留学。帰国後、広告会社にて米国メーカーを担当。外資系IT企業を経て、2008年に(株)毎日エデュケーション入社。法人研修コンサルタントとして現在51社、20ヵ国の研修を担当。自身の経験と実績を活かし、さらなる日本企業のグローバル化に向けて奔走している。

リーマンショックは海外研修のターニングポイント

安部 宏氏/講演 photoグローバル化が求められる今、海外研修を行なう企業が増えています。今回は、企業派遣留学のプランニングから実際の運用の状況について、英語圏や中国はじめBRICsにおける状況や最新動向などを例にご説明します。

弊社は、企業派遣留学において長い歴史がございます。オフィスが竹橋と言う立地から、古くは官公庁・金融関係、そして商社様が中心でしたが、近年はメーカー様が主になっております。またご用命いただく国・言語も時代の流れを反映し多様化してきています。

講演資料2008年のリーマンショックは海外研修のターニングポイントだったかと思います。当時弊社における海外研修の7割は英語圏でしたが、リーマンショックを期に、英語圏への海外研修を見合わせる企業が増えたのです。そこで弊社の強みである中国語圏の研修をご提案したところ、企業様の需要に結びついたようで、気が付けば新規のお問い合わせも8割が中国語圏に。しかし2011年、本年度新規お問い合わせの8割が英語圏に戻りました。社内公用語として英語を導入する企業もでてきたことが背景にあるのでしょうか。そんな中でも中国の受注は引続き顕著に伸び、対前年比2倍を越えております。

スクール選びで英語研修の成果も変わる

まず、英語圏の研修からご説明します。よく「同じ英語圏からどの国に派遣すべきか」と訊かれますが、アメリカン英語・ブリテッシュ英語等「どこで」勉強するかよりも、「何を」学ぶかが重要であるかと考えます。インド人と英語で仕事をするときに、アメリカンだブリテッシュだとは言ってられません。

英語圏の研修は階層別になります。まず「一般英語」から研修機関を選ぶポイントは三つ。一つ目は生徒の国籍バランス。二つ目は社会人と学生の差別化が行われているか。三つ目はカリキュラムの質です。やはりしっかりしたカリキュラムがないと、このレベルで成果を出すことは難しいです。

次に「ビジネス英語」ですが、これは基礎英語を習得済みの方が対象となります。TOEICで最低550点を超えるレベル。研修機関を選ぶポイントですが、まずは講師の質です。英語教える資格だけではなく、MBAホルダーや元企業戦士などビジネス経験者の講師でないと、ビジネスパーソンの要求には対応できません。二つ目は希望に応じて授業のテーラーメイドが可能かどうか。そして、三つ目はホームステイ先の質です。私たちは通常、イギリスやアメリカへの留学ではホームステイ滞在を組み込んでおります。社会人の方ですと「ホテルにしてほしい」と言われることもありますが、ホテル滞在だとネイティブと話す機会が限定されてしまう。やはりホストとの交流がスピーキング能力向上の鍵を握ります。最初不安に思っていた方も、実際に行くと生活を楽しんでいらっしゃいますのでご安心ください。

講演資料「ビジネス英語」の効果的なカリキュラムの一例としては、ビジネスパーソンをターゲットにするイギリスのある研修機関では、研修生は2週間に1度、全校生徒の前でプレゼンテーションを行います。最初は戸惑いもある英語でのプレゼンも、回数をこなしていくとボディランゲージを含め上達していきます。この様にカスタマイズされたプログラムにおいて、同じ境遇の企業人との他流試合から実践に近い形で授業が進行していくことは大変有益であります。

ビジネス英語の上は「ビジネスサーティフィケート」。レベルで言うとMBAの一歩手前の内容になるかと思います。国際ビジネスにおけるマネジメントについて等、専門性の高いプログラムになります。大学のエクステンションや研究室で実施しています。

一例では、聴講スタイルではなく大学院の学生と一緒に学んでいただきます。故に英語は話せて当たり前、TOEIC800点強のレベルが必要になります。

最近ではミドル層の英語圏派遣も増えてきまして、久々の英語に不安を感じる方も多いです。いきなり大学のプログラムではハードルが高いという場合は、国内研修のアレンジから現地にて一般英語、ビジネス英語を経てビジネスサーティフィケートへと長期のご依頼も増えてきております。

ギブアップさせない工夫が必要な中国語研修

次は、需要が増えている中国語研修について。各語研生の目標は、ビジネスで使えるとされる新HSK(中国政府公認の中国語検定試験)で5級(旧6級)になります。研修先の都市としては、北京と上海が多いです。北京は首都であり言葉も標準語に近いので長期研修の7割で選ばれています。逆に赴任前研修や現地法人でOJTを行う場合は、現地法人の多い上海が半数以上を占めています。

講演資料弊社での取扱いが最も多い大学は北京語言大学。ここは中国語を世界に広めようという国家戦略から創立され、教育メソッド、教師、教材などが整い、グローバルにおける認知度の高さから留学生の国籍バランスが綺麗です。留学生数は5000名と多く、クラスも語学レベルで細分化されているので自分に合うレベルで受講できます。

中国での語学研修では、少なくとも1ヵ月程度の国内研修をお願いしております。現地では中国語を中国語で教えるダイレクトメソッドになるため、ある程度の語学力が必要になります。何も準備せず渡航されてギブアップしてしまうケースもございます。また大学の初級レベルでは漢字の書き方から始まるので、日本人には無駄な時間でもあります。そのため、最低初中級、出来たら中級レベルから入学できるように国内研修をお願いしております。

なお、弊社では北京、上海、大連、台北に現地サポートデスクがあり、各種手続きから生活面でのサポートが可能であります。大学入学時の事例から、登録日に1年分または半年分の授業料を全額、現金で持っていかなければなりません。しかし、大金を持ち歩くことは安全上問題です。この点も弊社では、授業料・寮滞在費等を事前送金で対応できますので、研修費用の一元管理といった部分ではご担当者様に喜ばれています。

問い合わせの多いロシア、ブラジル、メキシコ、ベトナム

英語圏・中国語圏以外で問い合わせの多いロシア、ブラジル、メキシコ、ベトナムへの留学についてご説明します。まずロシアですが、過去に大学の語学コースは開講が不安定なことがあったため、安定的にフルタイムの授業が展開される民間スクールを紹介しています。大変評判のいい学校で学生ビザにも対応できます。

次にブラジル、メキシコ、ベトナムですが、実はまだ大学付属でフルタイムの授業を受けることが難しい状況であります。留学生が少ないためでしょうか、月~金で毎日授業がなかったり、1日2時間だけといったスケジュールが多いです。そこで、大学だけではなく民間の学校を併用したり、人数が集まらないと開講しない時は1対1に振り替えたりするなど、可能な限りフルタイムで受講できるように配慮しております。なお、これらの国は欧米圏や中国語圏のレベルで学生ビザのステータスが確立されていないことも課題であります。

このように企業派遣留学は目的や派遣先により、様々な事情そして課題も存在します。私たちの仕事は、まず各企業様へのヒアリングから、初めて海外研修を行われるお客様でも安心して海外へ研修生を輩出できるように、時には社内制度の構築からお手伝いすることもあります。また弊社は旅行会社でもありますので、ビザや航空券などの手配も可能です。研修期間中には各教育機関と連絡を取り合い、現地で何か事件などがあれば各主要機関への問い合わせから安否確認を行っております。

企業の海外研修は、今後ますます増えると予想されますが、これからも日本企業がグローバルで勝つための海外研修を提案していきたいと思っています。本日はありがとうございました。

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