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特別講演[2-a]

5年後10年後の明暗を分ける人材開発の体系化

有限会社パフォーマンス・レバレッジ 代表取締役
田鍋 安弘氏(たなべ・やすひろ)
プロフィール:(株)野村総合研究所、(株)エスプールの研修&コンサルティング事業の研究開発責任者を経て、2006年4月に(有)パフォーマンス・レバレッジを設立。成果や組織課題の解決に直結する研修&コンサルティングを提供。企業の人事研修担当者向けの情報交換&勉強会を企画開催し、5年間でのべ約1000人以上 が参加。

なぜ、人材開発の体系化が必要なのか?

田鍋 安弘氏/講演 photo本講演では、皆さんに意識してほしいことが三つあります。一つ目は、「No Magic Wand(魔法の杖はない)」。当たり前のことを、いかに深くやっていくかということです。二つ目は、「自社&自分の体験にとらわれない」。現在の自社の人材開発は全ての方法を網羅しているわけではないということを前提に考えてください。三つ目は、「正解ではなく最善」。特にこの体系化では、正解や完璧なものを求めようとすると、プロジェクトが止まってしまう傾向があるので、いまできる「最善」なものを作ることに焦点をあてて下さい。

それでは、まず、「人材開発の体系化の必然性」から考えていきたいと思います。そもそも、なぜ人材開発の体系化を行う必要があるのでしょうか? また最近、人材開発の体系化を行なう企業が増えていますが、その理由は何でしょうか?

人材開発の体系化を行う理由は、いくつかあります。第一に、「必要となる人材を明確にするため」。組織の存在意義や価値観、戦略を実現するために、どんな人材が必要なのかということです。また、それを社員にきちんと知ってもらうという目的もあります。第二に、「中長期に渡った、累積的な成長の支援のため」。次世代リーダーの育成などは、累積的に積み上げていくものであり、多くの時間が必要です。第三に、「効率的、総合的に成長を促進していくため」。思いつきや流行ではなく、本質的な成長支援を行う必要があります。また、時間や予算を効率化し、職場と本社との役割分担も明確にしなければいけません。第四に「人材開発の効果&進捗を把握管理するため」。大きな軸がないので、結局うまくいっているかどうかを図る基準がないのです。そのほかにも、昇進・昇格・採用など、「他制度と連動させるため」。また、「適切な投資&予算を確保していくため」などが挙げられます。

それでは、次に「なぜ今、人材開発の体系化なのか?」について考えてみたいと思います。笑い話のようですが、理由として一番多いのは、「経営層からの鶴の一声」です。二つ目は「人材開発の投資対効果が強く求められるようになった」こと。研修を行うことがどんな成果につながるのかを、厳しく問われるようになってきています。三つ目は、「体系化していないことでの弊害が大きくなってきた」こと。世代交代の時期が迫っているのに、次世代が育っていないこと、また、これまで放置してきた40代以上のロー・パフォーマーが無視できないほどに増えてきたことも理由の一つです。四つ目は、「これまでの体系が現状にあわなくなってきた」こと。さまざまな理由がありますが、現在のビジネスモデル自体が陳腐化してきたことや、プレイングマネジャーが増え、忙しくて部下の育成まで手が回らなくなったこと、グローバル化で対象人材や必要なスキルが多様化してきたこと、人材開発や研修の手法が進化してきたなどが影響しています。

実際、ここ10年で人材開発や研修の手法は大きく変化しています。昔は変化の速度が遅かったため、過去の経験を活かせる期間は長く、現場での育成にも余裕がありました。しかし、現在は変化の速度が速く、過去の経験が足かせになることもあります。また、これまでの人材開発は、あくまでも啓発的な要素が強く、10年後、20年後を見据えたものではありませんでした。その結果、必要なスキルを獲得してこられなかった管理職が世の中に多く存在しています。人材開発の体系化を適切に行っていなければ、その影響は今ではなく、10年後以降に顕著に現れてくることになります。

何が原因で、人材開発の体系化は失敗してしまうのか?

講演資料ここで、人材開発の体系化は何が原因で失敗してしまうのかについて考えましょう。まずよくあるのが、研修体系を作ることが目的になっているケース。「上から作れといわれたから作りました」というケースですね。また、体系化の軸が、「結果(どんな結果を出したいのか?)」でなく「活動(どんな研修を実施するか?)」になっているケースも多いです。なんとなく人材要件があるだけで、体系化の目的が「学習機会の提供」だけで終わってしまっています。体系化を行うことで何を実現したいかという「期待成果」を事前に具体的にしておく必要があります。

二つ目は、実業務経験を主軸にしたリーダー育成になっていないこと。例えば、これまでの仕事人生で、最も成長を感じたのはいつかと訊かれて「研修を受けたとき」という人は、ほとんどいないと思います。研修はあくまでも補助手段であって、成長にはさまざまな業務経験を通した経験学習が重要です。行動することで経験がうまれ、それを適切に認識し解釈することで学習へと繋がっていくのです。しかし、いまの人材開発では、成長のために、どのタイミングで、どの経験を、どのような業務を通して、経験させていくのかが体系化されていません。

人材開発の体系化をどのように進めていくのか

田鍋 安弘氏/講演 photo次に、人材開発の体系化を行う際の手順についてご説明します。一般的には箱型設計方式(気にいった研修をいくつか選んで階層別に実施する)や、完全設計方式(完全網羅的に調査、最初から全体像を決め、その形で数年まわす)で設計している企業様が多いような気がします。箱型設計方式は作るのは簡単ですが、既にお伝えしたように効果は薄くなります。完全設計方式では、人材要件の精緻化に集中しすぎて、開発の方が疎かになっている企業様を多く見かけます。従って我々がお勧めしているのは、段階的に設計していく方式です。管理職育成やリーダー育成といった、まず幹の部分をしっかり設計し、段階的に体系化の範囲を広げていく方式です。最初から大がかりになりすぎず、始めやすいのが特長です。

最後になりますが、皆さんに二つお願いしたいことがあります。一つ目は、個人の学習や成長に関する基礎理論をきちんと学んでください。そうしないと、人材開発の体系化が、研修の体系化になってしまい、単なる研修選びで終わってしまいます。何が人を変容させるのか?人の成長を促進させる要素は何か?そういった根底の原理原則を学んでおく必要があります。二つ目は、5年前、10年前に本来は何をやっておく必要があったかを踏まえ、この先の5年後、10年後を見越して、いま何をやっておく必要があるのかを、しっかりと考えて下さい。

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